むねた裕之
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エジプトの教育への情熱(写真はエジプトのオアシス)

moblog_799593私には、今年中学に入った娘がいます。「大きくなったなあ」という喜びと「これからお金がかかるなあ」という不安があります。というのは、日本の大学の学費は、世界一高いのです。初年度、国公立で83万円、私立で130万円以上かかります。

ヨーロッパでは、大学まで学費はほとんどかからず、北欧は学費ゼロ、少し高いフランス、ドイツでも年間2万円くらいです。アメリカでも学生の7割が通う州立大学は50万円程度です。

文部科学省に交渉に行くと、「予算がない」と言います。しかし、これは言い訳にすぎません。日本は他国と比べて教育に対する予算が格段に少なく位置づけが全然低いのです。

私が、エジプトの砂漠を旅行していた時、すごく感心したことがあります。砂漠を徒歩で横断していた時に砂嵐に会い、家が十数件の小さな集落に泊めてもらいました。家は泥を固めて作ったもので、電気もガスもなく焚火とランプで生活していました。

ところが、夜、子どもたちが勉強をし始め、どこからともなくある男性が訪問してきたのです。なんと学校の先生でした。オアシスから数十キロ離れたこの集落にも先生が家庭教師のように教えに来るのです。しかも、どのオアシスにも立派な学校が立っていました。普通の民家は泥や粘土を固めたもので作っていましたが、学校だけは鉄筋コンクリートなのです。エジプトの先生に「どうしてこんなに学校だけは立派なのですか」と聞いたら、「ナセル大統領の時に“エジプトは貧しい国だが、教育だけはお金をかけよう。なぜなら教育は、その国の未来を創る”と小さなオアシスにも学校を建てていったのです」と話してくれました。エジプトの教育に対する熱い思いを感じました。

日本は「お金がない」のではなく、お金の使い方が間違っているのです。ヨーロッパ並みの教育予算にするには、あと6兆円必要です。その2兆円で大学の学費は、私立も国公立も無料にすることができます。アメリカへの「思いやり予算」2500億円を教育に使えば、すべての大学の学費を年間10万円引き下げることができます。政府は「思いやる」先を間違っています。米兵を思いやるより、自国の学生を思いやるのが当たり前の社会です。