むねた裕之
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川崎市ぜん息患者医療費助成ー気管支ぜん息は一般アレルギー疾患とは全く違う、死に直結する疾患

23年度3月・川崎市議会の日本共産党・代表質問で、むねた裕之市議団長が質疑を行いましたが、その内容をお知らせします。

●質問

ぜん息患者の医療費助成制度の廃止について、市長に伺います。

「成人ぜん息患者医療費助成制度の見直し(案)」及び「小児ぜん息患者医療費支給制度の見直し(案)について、委員会の説明では、2007年の制度導入時の気管支ぜん息患者数は1,770人から2021年の8,611人と約5倍に急増している中でも気管支ぜん息が死因の死亡者は21人から8人と約1/3に減少しているとのことでした。委員会でこの制度の効果の検証について確認しましたが審議会でも、市の見直し(案)検討の際も制度の効果の検証は行われていないことが明らかになりました。

同様に、制度廃止で現行の無料または1割負担から3倍にもなるが患者負担の影響についても、審議会でも市の見直し(案)検討の際も検証されていないことも明らかになりました。

 制度の効果の検証をせず、患者負担増に伴う受診抑制による重症化、死亡への影響について検証も行わず制度廃止の見直し(案)を策定した理由を、伺います。

「喘息予防・管理ガイドライン」では、ぜん息治療は、将来に渡って呼吸機能を維持して悪化を防ぎぜん息死を回避するため、日常的な医師の管理のもとで適切に症状をコントロールする医療が受けられることが大変重要としています。また、2022年3月の予算審査特別委員会で健康福祉局長は、成人ぜん息医療費助成制度について、「…市内のぜん息患者の方に対し医療費の一部を助成することにより、健康の回復と福祉の増進に寄与したものと考えております」と評価していました。なぜ、効果を認めていた制度を廃止するのか、伺います。また、市長は制度利用当事者の患者の皆さんが実態を直接伝えたいと言っていますが、拒否しています。この様に、市はこれまで会っていた団体に途中で会うことを拒否するような事例は他にあったのかどうか、伺います。

◎答弁

制度の見直しにつきましては、令和4年3月、「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」の 改正を機に、これまでの庁内での検討に、地域医療審議会の答申内容を反映し、総合的な見地から「アレルギー疾患対策推進方鈿(案)」を取りまとめました。

現状を踏まえた、これからのアレルギー疾患対策としては、国の基本法や新たな改正基本指針に照らしても、特定の疾患に医療費を助成し続けることは改めるべきで、この制度は所期の役割を終えたと判断したものでございます。

また、御意見については、これまでも文章で丁寧にやり取りをしている経緯もございますので、引き続き誠実対応してまいりたいと存じます。

●再質問

ぜん息患者の医療費助成制度の廃止について、市長に伺います。     【市長】

指摘したように、2007年の制度制定時から患者は約5倍に増加しているものの、気管支ぜん息が死因の死亡者は21人から2021年は8人に減少しています。制度により命が救われています。地域医療審議会でも市が制度廃止の見直し案を検討する際にも本制度の効果の検証、患者負担増による受診抑制と重症化への影響についても何も検証していません。「審議会の答申を反映、総合的な見地から」という答弁ですが、検証を行わない理由になっていません。なぜ、制度の効果の検証を行わないのか、伺います。

本市のぜん息患者発生率は8.0%で他の地域より低いとの説明がされました。しかし、比較の地域は国が指定した大気汚染公害が深刻な公害健康被害予防事業助成金対象地域であり、これと比べて低いとするのはごまかしです。全国の成人ぜん息患者発生率の平均は3%と云われています。これで見ると川崎市は明らかに発生率が高く、公害の深刻な地域と見るべきです、伺います。

2021年の成人ぜん息患者は8,611人です。ぜん息患者が月に約50人ずつ増加しています、このように急増していますが原因究明がされているのか、伺います。

◎答弁

この事業が、アレルギー疾患対策として国の基本法と基本指針にそぐわない、「特定の疾患のみに対する助成事業であることを鑑み、総合的な見地から、最終的に改めるべきと判断したものでございます。

●再々質問

ぜん息患者の医療費助成制度の廃止についてです。          【市長】

気管支ぜん息は一般アレルギー疾患とは全く違う、死に直結する疾患です。厚労省喘息死ゼロ作戦評価委員会の報告では、重篤な発作による窒息死に至る時間は一時間以内に13.6%、3時間以内と合わせると29.7%と急死が多いとしています。だから、「喘息予防・管理ガイドライン」では「症状をコントロールするためには、日常的な医師の管理のもと適切な医療を受ける事が大変重要だ」としているのです。本市も制度発足時の市議会の答弁で、ぜん息患者は「死と隣り合わせの疾患」と説明し、だから制度が必要としたのです。市長は他のアレルギー疾患と違い、適切な医療が継続されなければ死に直結する疾患であるとの認識があるのか、伺います。

現行制度の効果も、制度廃止による影響も検証しない審議会の答申を受け、検証しない理由を質しても答えず「総合的な見地から」の一点張りです。この様なやり方で制度廃止を決める事には誰もが納得しません。ぜん息患者の命綱を断ち、ぜん息で苦しむ患者を切捨てることを行政が行うことは許されません。

「成人ぜん息患者医療費助成制度」「小児ぜん息患者医療費支給制度」は廃止すべきでありません。市長に、伺います。

◎答弁

アレルギー疾患対策基本法と基本指針は、気管支ぜん息を含め、多様なアレルギー疾患の対策に携わっている、医療従事者をはじめとする全ての関係者が協力して、アレルギー疾患の発症を防ぎ、アレルギー症状にさいなまれている方々に的確な情報と最適な治療を、適時に提供できる体制を一日も早く構築するための、最も重視し共有すべき考え方でございます。こうした基本法等は、本市におけるアレルギー疾患対策事業を判断する基準であると考えておりまして、その方向性にそぐわない制度につきましては、先ほどお答えしたとおり、総合的な見地から、最終的に改めるべきと判断したものでございます。

●最終意見

ぜん息患者医療費助成制度の廃止についてです。

成人ぜん息患者医療費助成制度、小児ぜん息患者医療費支給制度の効果の検証、廃止による患者への影響の検証も行わない。適切な医療が継続されなければ死に直結する疾患であるとの認識を質しても正面から答えません。しかも、本市の医療費助成制度がアレルギー疾患対策基本法の方向性にそぐわない制度などと答弁しました。しかし、基本法の第5条では、地方公共団体の責務として「地方公共団体は自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた政策を策定し、実施するよう努めなければない」としています。本市は、国が大気汚染が深刻であると指定した地域であり、基本法にのっとればその特性に応じた対策を実施しなければならない自治体です。本市が行おうとしている事こそ、基本法に反しています。基本法までねじ曲げて、制度を廃止するやり方は許せません。この様なやり方で「成人ぜん息患者医療費助成制度」「小児ぜん息患者医療費支給制度」は廃止すべきではありません。