むねた裕之
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川崎市・・特別自治市への反対討論

3月18日、日本共産党は、特別自治市に関する決議への反対討論を行いましたので、紹介します。

「特別自治市の早期実現に関する決議」案に対する反対討論

 この決議案は、特別自治市制度の実現に向けて、市民の理解の促進に取り組むとともに、国等において制度化に向けた議論を始めることを求めるものです。

特別自治市制度について、市は「二重行政の無駄を解消することを目的に、県が実施している事務・権限や各種県税の課税徴収も合わせて市で行う」としています。この間行われたパブリックコメントでは、様々な意見が出され、委員会、代表質問でも問題点について指摘してきました。

いわゆる二重行政についてです。

すでに住民サービスに直結するほとんどの事務は市が行っています。一方、防災、警察、環境、コロナ対応など県や周辺自治体との連携が必要な業務があることも認めています。では、「どんな事務が無駄なのか」という質問に対し「県が行っている幼稚園などの許認可権の事務」という答弁でした。「二重行政が無駄」といいながら、県との連携が必要な行政があることを認めており、しかも無駄な事務の理由としては、あまりにも説得力がありません。

税財源の移譲についてです。

現行の各種県税を市が課税徴収するということですが、当然、県としては県内市町村に分配する税財源が失われます。この点について、県は3月17日の報道で「仮に3政令市が特別自治市に移行した場合、県の政策的経費の3分の1に相当する財源不足に陥るとの試算を示し、特別自治市以外の市町村での行政サービスの維持が困難になる」として「住民目線から見て法制度化は妥当ではない」との見解を示しています。税財源の移譲について県は明確に反対しており、県内市町村のサービスの維持が困難になるなどの支障が出ることも明らかになりました。

市民や県、国との合意についてです。

委員会では「この制度は市民からの要望でできたものではない」という答弁でした。20政令指定都市の中でも16市が進めているだけで、全政令市の合意も市民、県、国との合意がないまま進めようとしています。パブコメでは、「市民や町会、自治会にもきちんとした説明がない」「ほとんど周知がされていない」「このパブコメだけで進めてよいのか」などの意見があります。市民や町会、自治会などへの周知がないまま進めて良いのでしょうか。

県の研究会から出された報告書についてです。

 県の「特別自治市構想等大都市制度に関する研究会」から昨年11月に報告書が県知事に提出されました。その中で「この研究を進める中で、どうしても払しょくできなかった疑問がある。それは、この構想を県民・市民が本当に望んでいるのかということである」と指摘しています。また、「住民は、道府県の区域外となり、知事・県議会議員の選挙に参加する機能が失われるとともに、災害対応や新興感染症対策等における広域自治体のバックアップといった県の総合調整機能が失われ、これまで通りの住民サービスを受けられなくなる。また、特別自治市に移行した場合、市によっては大幅な歳出超過になると試算されている」と指摘されています。川崎市民は県民ではなくなり、県議を通した川崎市民の声が届かなくなり、災害、コロナ対策などの調整機能、サービスが失われるのです。このことは多くの市民には知らされていません。そして最後に「特別自治市は、120年以上にわたり現在の県域において発展してきた神奈川県の一体性を失わせることになる」と指摘して「特別自治市という現行の地方自治制度の抜本的な見直しを検討する前に、既存の制度の十分な活用や検討を行うべき」と結論付けています。

 わが党は、以上のように特別自治市制度について議論はまだ途上であり、さらに多くの問題点が出てくることも考えられることから、「特別自治市の早期実現に関する決議」案には賛成できません。