むねた裕之
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川崎市臨海部を脱炭素、再エネの一大拠点に・・市内電力を100%再エネでの自給は可能

 世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題になっています。国連IPCC「1.5度特別報告書」は、2030年までに大気中への温室効果ガスの排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を抑え込むことができないことを明らかにしました。すでに世界の平均気温は1.1~1.2度上昇しており、破局的な気候変動を回避するために取り組める時間は長くはありません。川崎市においても、特に、CO2排出量のかなりの部分を占める臨海部の脱炭素戦略=省エネ、再エネ(再生可能エネルギー)は喫緊の課題となっています。

省エネ・・CO2排出量の7割は臨海部―>電力、鉄鋼、石油関連7社とCO2削減の協定を

臨海部には、火力発電所、鉄鋼関連、石油関連企業が集積しています。臨海部2800haのうち、鉄鋼関連542ha、石油関連533ha、火力発電所195ha、あわせて1270ha、臨海部全体の45%を占めます。これら鉄鋼、石油関連、火力発電所は脱炭素に向けて大規模な土地の再利用が課題となっており、1270haという広大な土地をどう利用していくのかが臨海部では最大の課題になります。

CO2排出量について、産業系に占める割合は全国が48%なのに、川崎市は77%と極めて高く、この産業系のCO2排出量のほとんどが臨海部に集中しています。しかも、臨海部の火力発電所、鉄鋼、石油関連部門で市域全体のCO2排出量の約7割を占めています。臨海部の3部門は、火力発電所3社(東電、JR、川崎天然ガス)、鉄鋼2社(JFE、日本冶金)、石油関連2社(ENEOS、東亜石油)などわずか7社で構成されており、これら大規模事業所の脱炭素化は省エネにとって決定的です。全市的な省エネを進めるためにも、この3つの部門の大規模事業所7社と、CO2削減目標や計画などの省エネに向けた協定を結びます。

再エネ・・鉄鋼、電力、石油関連の土地の再編―>市内電力の7割を臨海部から供給可能

 臨海部には再生可能エネルギーの大きな可能性があります。臨海部の鉄鋼、火力発電所、石油関連の再編などで大規模な土地利用転換が予想されます。この土地をどう利用するかが喫緊の課題となってきます。どんな企業、例えば倉庫や物流関連の企業が来ても、その建物の屋根や駐車場などに屋根を付けて、そこに太陽光パネルを設置することは可能です。

わが党が研究委託して試算した結果、臨海部の敷地の60%に太陽光パネルを設置。風力発電も既存の風力発電所に陸上6か所、洋上12か所を加え、既存のバイオマス発電所を加えると市内の産業部門、民生家庭部門の電力使用量の約7割を臨海部の再エネで賄えることが明らかになりました。この他に臨海部以外の土地を利用して、農地のソーラーシェアリング、道路の路面、市内の駐車場・倉庫など屋根、民間施設・住宅などの屋根に太陽光パネルを設置。廃棄物発電など合わせると市内の産業・民生家庭部門の電力の100%は再エネに転換することは可能になります。これは2050年までに電力使用量を38%削減することと今の最新の太陽光発電のパネルを使うことを前提としています。

臨海部では、このように大規模な土地利用の転換が迫られており、脱炭素、省エネ、再エネの大きな可能性もあります。そのことを踏まえた臨海部ビジョンにします。

経済効果・・再生可能エネルギーの開発・生産で仕事と雇用を生み出す

 再生可能エネルギーは、多くの仕事と雇用を生み出します。発電コストでは太陽光発電が最も安く、その需要は急速に高まっています。市内中小企業の仕事と雇用につなげるためにも、太陽光などの再生可能エネルギーの開発・生産を支援する独自の戦略を持ちます。

市長の脱炭素戦略・・水素、輸入頼み

市長は再生エネルギーについて「海外からの水素エネルギー調達」などで賄うという答弁でした。しかし、エネルギーを海外に依存するということは、いざというときエネルギー調達できないという危険を伴います。水素エネルギーについてですが、水素の生成には大量の電力を必要とします。その電力を再生可能エネルギーで生成したとしても、エネルギーロスが生まれ、船を使って輸入するとなると膨大なエネルギーロスが生まれ、コストも高くなります。再生エネルギーは輸入に頼らず、水素戦略一本ではなく、太陽光などを中心とした再生可能エネルギーを市内、特に臨海部から供給します。