むねた裕之
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川崎市の市職員の長時間労働ー年480時間超664人、年1000時間超49人

市職員の「働き方・仕事の進め方改革」について、伺います。

・2017年3月に川崎市働き方・仕事の進め方改革推進プログラムが策定されて4年が経ちました。

(職員の長時間労働について、総務企画局長に)

時間外勤務職員数について、全任命権者における直近の年480時間超、年1000時間超の職員数を伺います。

●答弁

令和2年度に年間480時間を超える時間外勤萪を行った職員数は、市長事務部局が353人、その他の任命権者が311人でございます。

また、年間1,000時間を超える時間外勤務を行った職員数は、市長事務部局が16人、その他の任命権者が33人でございます。

ディスプレイ1

(時間外勤務職員数)

年度

年480時間超

年1000時間超

2016年度

894

88

2017年度

691

55

2018年度

606

46

2019年度

623

42

2020年度

664

49

・時間外勤務職員について2020年度、年480時間を超える職員は、41人増の664人、1000時間を超える職員は7人増の49人にも上っている。大変深刻な事態。

・どちらも川崎で台風被害があった19年度よりも増加しています。ちなみに台風やコロナがない年度(17,18年度)でも、年480時間超の職員は600人、年1000時間超も50人前後もいます。災害や、コロナがあったから一時的に多かったということではなく、長時間労働が常態化しているということです。

・36協定における時間外勤務の規定について伺います。

36協定において、時間外勤務の限度時間数、また、その時間数を超えて働いた場合の限度時間数とその条件を伺います。

●答弁

市長事務部局の36協定における上限時間は、原則として、 1日について5時間、 1箇月について45時間、1年間について360時間を超えない範囲で、時間外勤務を命ずることができるものでございます。

また、予見できない臨時又は緊急の業務が集中し、公務の運営に支障をきたすおそれが生じた場合には、 1日について7時間、 1箇月について70時間、 1年間について480時間を超えない範囲で、時間外勤務を命ずることができるものでございます。

なお、災害時等においては、これらの時間を超えて時間外勤務を命ずることができるものでございます。

・「公務の運営上やむを得ない場合」でも上限時間は年360時間、「予見できない臨時または緊急の業務が集中した」場合でも年480時間まで。本来、年480時間超の職員はゼロであるべきなのに600人を超え、年1000時間超の職員が49人もいる。異常な事態です。

このこと自体、大変な問題だという認識はあるのか、市長に伺います。

●答弁

「働き方・仕事の進め方改革推進プログラム」による取組を開始した平成29年度以降、長時間勤務職員数は大幅に減少したところでございますが、令和2年度におきましては、新型コロナウイルス感染症に対応する部署の業務量の増加が、顕著となっているところでございます。

今後も引き続き、長時間勤務を喫緊の課題と捉え、その要因の分析及び検証を行い、是正に向けた取組を進めてまいります。

・「H29年度以降、大幅に減少させてきた」という答弁ですが、本来、年480時間超はゼロにしなければならないのです。「コロナがあったから」という理由も、コロナ・台風がなくても600人を超えているのですから、理由になりません。

・年480時間を超えて働く職員数が多い部局のうち、こども未来局と交通局についてです。

こども未来局と交通局の直近とその5年前の職員数を総務企画局長に伺います。

●答弁

こども未来局の職員数は、令和2年4月が967人、発足した平成28年4月が1,123人となっており、交通局の職員数は、令和2年4月が484人、その5年前の平成27年4月が521人となっております。

・特に残業時間が多い職場、こども未来局で156人、交通局で37人も職員を減らしています。

年1000時間超の職員がいる市長事務部局では、この間、増員されたのか、伺います。

●答弁

市長事務部局における職員数につきましては、平成27年からの5年間で194人の減員となっております。

・年1000時間超の職員がいる市長事務部局では、この5年間で増員どころか、194人も職員を減らされています。

・このように、市職員の時間外勤務は、本来超えてはならない年480時間を超える職員が毎年600人以上出ており、年480時間、年1000時間を超えて働く部局では、毎年のように職員が減らされています。要するに職員が減らされてきた職場で長時間労働がまん延しているということです。

(コロナへの対応について)

病院局での医師、看護師の職員数について、この間、何人の増員がされたのか、病院局長に伺います。

●答弁

川崎病院及び井田病院における在職者数につきましては、 4月1日時点では、昨年度と比較して、医師1名、看護師15名が増加しているところでございます。

・コロナ禍で、この1年大変な状況だった病院局の医師で増えたのはわずか1人、川崎病院では逆に1人減らされています。看護師も増えたのはわずか15人、井田病院では4人しか増やされていません。今年の1月には、どちらの病院でも病床が満床近くになり、医療スタッフが足りず医療崩壊のような状況になったのですが、医師1人、看護師15人しか増員されていません。

保健所の職員数について、コロナ禍の中で何人増員されたのか、総務企画局長に伺います。

●答弁

新型コロナウイルス感染症の対応のため、29人の増員を行っております。

・コロナ禍で休みもほとんどとれなかった保健所で職員の増員は29人。行政区あたりにするとわずか4人です。

政令市の中で、人口当たりの病床数、医師数、ICU設置数、保健所の職員数は政令市の中で何番目か、健康福祉局長に伺います。

●答弁

国の調査に基づき算定すると、病床数につきましては、平成30年時点で、人口 10万人当たり716.3床となっており、 20政令市中19番目となっております。

医師数につきましては、平成30年時点で、人口10万人当たり 2 3 1.1人となっており、同じく 18番目となっております。

ICU病床設置数につきましては、平成29年時点で、人口 10万人当たり 4.6床となっており、同じく 17番目となっております。

保健所職員数につきましては、平成30年時点で、人10万人あたり 24.4人となっており、同じく 7番目となっております。

ディスプレイ2

(医療提供体制)

医療・衛生

数値(人口10万人当たり)

政令市比較

病床数

716

ワースト2位

医師数

231

ワースト3位

ICU設置数

4.6か所

ワースト4位

保健所の職員数

24人(20年間で53人削減)

横浜市(40人)の半分

・人口当たりの病床数は、政令市の中でワースト2位、医師の数はワースト3位、ICUの設置数もワースト4位、保健所の職員数も、人口当たりで横浜市の半分など、医療体制のどれをとっても川崎市は政令市で最低レベルです。こういう状況にあるのに、市はコロナ禍でも抜本的な増員は行っていません。

・例えば、保健所の職員はこの20年間で人口が30万人増えているのに53人も削減されています。保健所職員を横浜市並みにするには、231人必要です。わずか29人の増員では全く足りません。

(人口と職員数について、総務企画局長に)

旧県費負担教職員数を含まない全会計職員数について、直近と10年前の市職員数とその増減、また、その間の市の人口とその増減を伺います。

●答弁

旧県費負担教職員数を除く全会計職員数につきましては、平成22年4月が13,67 8人、令和2年4月が13,000人となっており、 10年間で678人の減員となっております。

この間の市の人口とその増減につきましては、平成22年4月が141万4,15 0人、令和2年4月が153万5,41 5人となっており、 1 2万 1,2 6 5人の増加となっております。

ディスプレイ3

(10年間の人口と職員数)

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・川崎市の人口はこの10年間で12万人も増えているのに、職員は逆に678人減らされています。本来なら人口が12万人増えれば、1200人以上職員を増やさなければならないのに678人減らしたのです。その結果、職員数としては、現在約1800人足りない状況です。さらにこれから人口が増えて160万人になれば、2400人以上足りなくなります。

長時間労働の最大の要因は、必要以上のリストラによって職員を減らしすぎた結果だという認識はあるのか、伺います。

●答弁

職員の長時間勤務につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応などの突発的な危機事象の発生や、市民税当初課税事務など、短時間に大量の処理が必要なもの、また、財務事務や工事業務など時期的に集中する業務など、様々な要因により生じているものと認識しているところでございます。

・「職員が足りない」という認識について答弁がありませんでした。時間外勤務の多い理由について、新型コロナなど突発的事象を挙げています。もう一度言いますが、コロナや台風被害がなかった年度でも年480時間超の職員は600人以上出ています。台風やコロナは理由になりません。

・このように、人口が30万人以上増えても職員を減らしたために約1800人が足りない状況です。市の医療提供体制は政令市で最低レベルであり、コロナ禍でも市の医療スタッフ、保健所の職員も不十分のままです。それにもかかわらず、市は「職員が足りない」という認識はありませんでした。この認識こそが、職員の長時間労働を深刻にしている最大の原因です。

(長期療養者数について、総務企画局長に)

長期療養者数、メンタルによる長期療養者数について、直近と5年前の人数を伺います。

●答弁

令和2年度の元県費負担教職員を除く長期療養者につきましては、 315名、 5年前の平成28年度につきましては、 267名でございます。

メンタルヘルス不調によるものにつきましては、令和2年度は、 217名、平成28年度につきましては、 165名でございます。

ディスプレイ4

(長期療養者数)

年度

長期療養者数(人)

精神・行動の障害(人)

2016年度

267

165

2017年度

257

158

2018年度

244

147

2019年度

272

180

2020年度

315

217

・この5年間で長期療養者数は48人増の315人。メンタルなど精神・行動障害の療養者数は、165人から217人と激増しています。

長期療養者数の激増は何が原因と考えているのか、長時間労働は大きな要因ではないのか、伺います?

●答弁

本市においては、20代及び40代における長期療養者割合が高くなっております。特に増加傾向にある20代は、職場不適応によるメンタルヘルス不調となっております。

また、 40代においては、異動や昇任による職場不適応に加え、自身の健康や家庭での悩みなどがメンタルヘルス不調となる傾向にございます。

・長期療養者激増の原因は「メンタルヘルスの不調」という答弁でした。メンタルヘルス不調の大きな原因は長時間労働であることは、多くの研究で明らかにされており、長時間労働が原因であることは自明です。

(長時間労働を減らす対策について、総務企画局長に)

時間外勤務時間、年480時間超はゼロにするという目標を掲げるべきと思いますが、伺います。

●答弁

「働き方・仕事の進め方改革推進プログラム」におきましては、交通局の自動車運転手や病院局の医師・歯科医師等を除き、「年間480時間を超える時間外勤務者数を令和3年度までに0人とする」目標を、取組に関連する指標として、掲載しているところでございます。

・「年間480時間を超える時間外勤務者数を21年度(今年度)までにゼロとするという目標を掲げている」という答弁です。しかし、これは、交通局や病院局などを除いた数ということですが、これを除いても400人いるのです。また、除いている交通局や病院局は年480時間を超えて良いということにはなりません。どうやって現在の600人を今年度中にゼロにするのでしょうか。

時間外勤務時間、年480時間超の職員数がゼロの職場を伺います。(全任命権者における)

●答弁

令和2年度に年間480時間を超える時間外勤務を行った職員がいなかった職場は、港湾局、臨海部国際戦略本部、市民オンブズマン事務局、会計室、消防局、選挙管理委員会事務局、監査事務局、人事委員会事務局でございます。

・年480時間超の職員がゼロの職場は29部局中わずか8部局です。4分の3の部局でゼロにする必要があります。

年480時間超の職員をゼロにするためには、何人の職員が必要と考えているのか。伺います

●答弁

職員の配置につきましては、時間外勤務の状況等も踏まえた業務量を把握し、必要に応じて職員を配置するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応など、突発的な危機事象の発生等により、業務量が増大する場合には、年度途中での増員も含め、機動的に対応しているところでございます。

・市の「時間外勤務の縮減対策」には「業務の分担の見直し」「業務の改善」などを挙げていますが「職員の増員」という対策がありません。しかし、年480時間超の職員の残業分を他の職員で賄うとすれば、所定労働時間、月160時間で試算すると職員は180人以上必要です。

「職員の増員」という対策がありませんが、これで十分と考えているのか、伺います

●答弁

時間外勤務の縮減につきましては、所属内における分担の見直しや、業務改善の取組などを進めているところでございますが、それらの改善策等も踏まえ、業務量に応じた適切な職員の配置に努めてまいります。

・あくまで「分担の見直し」「業務改善」という答弁で「職員の増員」という対策はありませんでした。「職員の増員」なしで来年度までに年480時間の残業をゼロにすることができるのでしょうか。

ディスプレイ5

(必要な職員増)

必要な職員数(人)

年480時間超の残業をなくすには

180

保健所の職員数を横浜並みに

231

人口増に合わせた職員数に

1800

・年480時間超の職員が600人以上おり、その残業をなくすには、少なくとも180人が必要です。保健所の職員だけでも横浜市並みにするとすれば、231人必要です。さらに川崎市の人口増に合わせて職員を増やすとすれば現在でも1800人は必要です。

少なくても年480時間超の職員の残業分を賄う職員180人の増員をすべきです、市長に伺います。

●答弁

少子高齢化に伴う地域課題や市民ニーズが多様化、増大化している中、安全・安心な市民の暮らしを支える行政の役割をしっかりと担うため、市民サービスを支える市役所の経営資源の最適化などに取り組み、業務量に応じた適切な職員配置を行ってまいります。

・最後まで「職員の増員」という答弁はありませんでした。「市民ニーズの多様化・増大化」という答弁ですが、ニーズが多様化・増大化したら逆に仕事が増えるのではないでしょうか。職員を減らす理由になりません。「安全安心な市民の暮らし」というのなら保健所職員の増員は必須ではないですか。

●要望

・この間の事務処理ミスの多発、職員の長時間労働、深刻な長期療養者数の激増、どれも職員の不足が根本的な原因ではないでしょうか。市民の安全安心、市民サービスの充実、市職員の長時間労働の縮減のためにも職員の抜本的増員を要望します。