むねた裕之
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川崎市―新年度予算:市税収入は減となるが減収補填、減債基金など十分な財源を確保

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3月2日、川崎市議会3月議会で日本共産党は団長・宗田裕之が代表質問を行いました。そのなかの「新年度予算案の特徴について」、その質疑を以下に紹介します。

【質問】

予算規模は7年連続過去最大、市税収入180億円減となるが財政力、人口増加はトップ

新年度予算案の特徴について、伺います。

新年度一般会計予算の規模は、前年度比283億円増の8208億円で7年連続過去最大。これは待機児童対策や学校給食費の公会計化による増です。市税収入は、前年度比180億円減の3454億円。これは個人市民税が93億円減、固定資産税35億円減、法人市民税が53億円減など新型コロナの影響による景気の落ち込みに伴い減収となりました。財政力指数は、政令市トップで、6年ぶりに普通交付税・交付団体となる予定です。直近の2019年度決算では財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良。一人当たりの市債残高は、政令市の平均よりも9万円低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。川崎市の人口増加率、生産年齢人口割合ともに、政令市で最も高く、人口推計でも今後9年間は増加が続くと予想されます。

政府の地方税の減収に対する補てん措置についてです。

地方税の減収分は臨時交付金、地方交付金、臨時財政対策債などで補填

20年度の補填措置として、減収補填債の対象項目に地方消費税などが追加されました。また、病院など公営企業の特別減収対策企業債を創設し、その利子の一部を特別交付税で措置します。このような減収補てん債などの資金繰り支援の活用とさらに地方創生臨時交付金が、自治体の補正予算施行から遅れて交付されることで、年度末には税収は一定程度復元されることになります。さらに21年度は、地方交付税の基準財政需要額の算定において、個別算定経費は2%程度増、包括算定経費は4%程度増、特別交付税総額は5.1%増となるため、市の地方交付税と臨時財政対策債が増額されます。このような国からの補填措置である減収補填債、特別減収対策企業債、地方創生臨時交付金、地方交付税と臨時財政対策債の増額などにより、市へ補填される総額はどのくらいになるのか、伺います。

減債基金についてです。

減債基金残高は政令市平均の2倍、収支不足分補填しても今後1000億円使える財源

減債基金残高は、一般会計分でみると2301億円となりました。この残高は市民一人当たりでみると政令市平均の約2倍で平均取崩額の8年分にもなります。政令市の減債基金残高は、取崩額の平均4年分ですから、1184億円あれば足ります。収支不足分286億円を減債基金から借り入れて、今までの借入総額を差し引いたとしても、減債基金の実質残高は1363億円です。この残高は政令市平均よりも179億円以上おおく、今後7年間で、減債基金に900億円積み増しする予定です。これらを考慮すると他の政令市より約1000億円は多くなり、これを財源に使うことは可能です。このように、川崎市の財政は、収支不足分を新型コロナの影響で減債基金から借り入れても、現状でも政令市平均以上の残高があり、今後はさらに1000億円は使っても十分な財源を確保しています。非常時なのですから、思い切ったコロナ対策を打つと同時に、福祉・暮らし、防災のためにためらいなく減債基金を使うべきです、市長に伺います。

新型コロナ関連予算についてです。

新年度コロナ関連予算は融資を除くと46億円のみで医療機関、中小企業などへの財政支援はない

20年度3月補正について、コロナ関連予算における市独自支出額は、12億円。その中には、今すぐ必要な中小企業への給付金、非正規労働者への直接支援、医療機関への財政支援は1円もありません。21年度予算については「コロナ対策に217億円」と報道されていますが、コロナ関連の市の独自支出は72億円。さらにここから融資、コロナ後の対策費を除くと46億円にしかなりません。その中にも、今一番必要な中小企業への給付金や医療機関への財政支援は1円もありません。しかも、ほとんどが国・県支出金に付随した予算で、市独自予算は1項目のみです。国や県の補助だけでは、コロナ受入れ病院以外の医療機関、飲食店以外の中小企業などは救えません。医療機関、中小企業、非正規労働者への給付金などの直接支援は市独自で出すべきです、市長に伺います。

【答弁】

本市財政は、新型コロナウイルス感染症の影響による景気の落込みや、ふるさと納税による市税の減収などにより、これまでにない厳しい状況にあります。

このような中におきましても、減債基金からの新規借入を行うことにより、質の高い保育・幼児教育の推進や、防災機能の充実、地域防災力の強化など、将来を見据えて乗り越えなければならない課題に的確に対応していくための予算を編成したものでございます。

さらに、新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、国・県・市の役割分担のもと、最優先で取り組むべき課題である感染症対策では、患者受入医療機関への支援等を実施するとともに、児童養護施設や母子生活支援施設等に入所している方など、感染症の影響により更なる苦境に陥っている方々への支援や、中小企業の生産性向上と働き方改革の取組への補助などの事業者への経営支援、総合的な就業支援など、地域に密着した経済対策を切れ目なく進めているところでございます。