むねた裕之
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決算審査特別委員会―中小企業の固定資産税、設備導入、人材育成、奨学金返還補助

9月19日、決算審査特別委員会の総務分科会(経済労働)でむねた議員が以下の質疑を行いましたので、紹介します。

【質問】

7款3項1目 中小企業支援費について

中小企業の開業・廃業について

市内製造業において国の経済センサスの直近4年間の開業と廃業の数と率を伺います

【答弁】

国の全事業所を対象とした「平成24年経済センサス活動調査」による市内製造業の開業数は62件、開業率は0.6 2%、廃業数は634件、廃業率は6.30%となっております。同じく「平成28年経済センサス活動調査」による開業数は122件、開業率は1.93%、廃業数は398件、廃業率は6.30%となっております。

市内製造業・中小企業の事業所数と従業員数について国の経済センサスの直近4年間の推移を伺います

【答弁】

「平成24年経済センサス活動調査」による従業者1人から299人以内の市内製造業者の事業所数は3,338事業所、従業者数は39,757人となっております。同じく「平成28年経済センサス活動調査」による事業所数は2,991事業所、従業者数は37,914人となっております。

【質問】

・開業と廃業の割合は経済センサスによると2012年は廃業数が開業数の約10倍、2016年でも約3倍で圧倒的に廃業数が開業数を上回っており、どんどん廃業する企業が増えています。中小企業の事業所数は4年間で347件、約1割減、従業員数は1843人も減っています。

中小企業の人材確保支援について

・下野毛工業組合、川崎北工業会のオープンファクトリーに参加したり、中小企業の方の要望を聞いてきましたが、一番多かったのは「募集しても人が集まらない」「後継者がいない」という人材不足、後継者問題でした。16年の経済センサスでも「今後事業を行っていく上での課題」のトップは「人手不足」48.3%、市に期待する施策のトップが「人材確保支援」で24.5%でした。

市内中小企業に対して、後継者不足解消、人材確保のために、どのような支援をしているのか、伺います

【答弁】

はじめに、後継者不足の解消につきましては、平成29年12月に、川崎商工会議所、川崎信用金庫、川崎市産業振興財団、本市の4者が協定を締結し、親族、従業員をはじめ、それ以外の第三者への承継を広く周知するためのセミナー等を連携して開催しております。ま

た、平成30年10月には、この4者と事業承継を支援する民間企業が協定を締結し、事業承継を希望する企業等と引継ぎたい企業等のマッチング機会の提供などにも取り組んでいるところでございます。

次に、人材の確保につきましては、市内中小企業の強みと魅力を積極的に発信し、それらを十分に御理解いただくことが重要であると考えておりますことから、企業と求職者との意見交換に重点を置いた交流会など、企業との出会いや仕事への理解を深める場づくりを行っております。

また、人材確保のための就職フェアへの出展パンフレットの製作等に要する経費につきまして、「中小企業等人材育成・確保支援事業補助金」による支援を行うとともに、個々の企業が抱える課題や状況に応じた専問家の派遣による伴走型支援を行っているところでございます。

【質問】

・市の「人材確保のための補助」として就職フェアへの出店や自社PRのパンフレット制作経費に対して20万円を上限に対象経費の2分の1を補助するということです。また、「専門家を無料派遣相談」などの伴走型支援をしているということです。

・わが党は、この間、自治体でひろがっている「奨学金返済支援制度」の実施を求めてきました。この制度は、中小企業の人材確保や就職の定着を図るため、若手社員に対する奨学金返済負担を軽減している中小企業への補助を行うものです。実績をあげている兵庫県は、引き続き成果をあげています。兵庫県が示しているケースでは、従業員の年間返済額12万円の場合、県と市が年間返済額の1/3の4万円を補助し、企業が6万円を補助するので、本人の負担はわずか年間2万円となり、最長5年間補助します。活用実績は、実施した2016年度は、5社8人でしたが、2年後の2018年度には85社304人に増加し、交付額は1249万円とおよそ60倍です。2017年に制度を導入した企業にアンケートを行ったところ「対象従業員の反応」は、「良かった」が94%、「制度導入後の社内の反応」は「良かった」が68%、と答えており、従業員・事業者とも喜ばれて、導入する中小企業が増えていることが結果からよくわかります。川崎市でも、制度の検討を要望します。

市内中小企業に対して社会保険料や税金の負担軽減のための支援は、どのようなものがあるのか伺います

【答弁】

本市におきましては、生産性の向上につながる設備投資を促すため、平成30年6月から、生産性向上特別措置法等に基づく、「先端設備等導入計画」の認定を受けた市内中小企業等が取得する先端設備等について、新たに固定資産税が課される年度から3年度に限り、固定資産税をゼロとする支援を実施しているところでございます。

【質問】

・認定を受けた中小企業が取得する先端設備等について固定資産税をゼロにするということです。さらに川崎市は「設備導入への補助」として、ITツールなどのソフト的な取り組みには50万円を上限に対象経費の2分の1を補助。IOTシステム・生産設備導入などハード導入には100万円を上限に対象経費の2分の1を補助。「人材育成の補助」として従業員の技術習得のための各種研修制度を利用した中小企業に対して、20万円を上限に対象経費の2分の1を補助しています。これらの制度を市内中小企業に広く知らせてほしいと思います。

(要望)

・ぜひ、東京都などでやっている共済制度を提案します。正社員転換を加速化するために中小企業退職金共済制度を実施。荒川区では、経営者の退職金のための共済制度として小規模企業共済加入助成を実施しており共済掛金の2分の1、月額上限10,000円の補助しています。こういう退職金のための共済制度を作ることによって、人材確保、後継者確保につなげています。本市でも中小企業の社会保険の負担分を少しでも軽減し、安定した雇用につなげるための支援を要望します。

・また、専門家による伴走型支援では、大阪市が実施しているマッチングナビゲータによる伴走型支援を紹介します。元大手企業の専門家約50人が自分の関心のある企業を自分の自由な時間を使って訪問して中小企業の技術力を探してきます。それを月1回のマッチング会議に持ち寄り、製品開発、販路開拓にもつなげており、年間200社、800件のマッチングを達成しています。川崎市のコーディネーターは4人ですが、川崎市産業振興財団も多くの専門家集団を抱えているわけですから、ぜひ、協力して大阪方式を取り入れてはどうでしょうか、要望します。