むねた裕之
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等々力緑地再編ー市民意見の取り入れを/PPFIは公園機能を損なう恐れが

一般質問写真

7月3日、日本共産党の宗田裕之議員の一般質問「等々力緑地再編整備について」を紹介します。

●質問

等々力緑地再編整備事業におけるPFI法に基づく民間提案について、建設緑政局長に

今年2月28日、等々力緑地再編整備事業に関して、民間事業者から提案が提出されました。これは東急電鉄株式会社から、等々力緑地の一体的な管理・運営、等々力陸上競技場・市民ミュージアム・等々力アリーナ・その他公園施設の活用、民間収益施設の設置等によるPFI事業の実施に関する提案です。

東急からの提案内容について「相手方の知的財産に当たる」ことから、現段階では公表はできない/提案の審査は、民間活用推進委員会を活用した審査によって、採用可否が決まり、その後、方針案が策定される

仮に、PFI事業として実施した場合、事業者の公募、選定、内容について議会の承認は必要ないのか?どのタイミングで議会への報告、承認があるのか?

◎答弁

事業手法として仮にPF1事業を採用した場合につきましては、 PFI法第12条の規定により、「地方公共団体は、事業契約でその種類及び金額について政令で定める基準に該当するものを締結する場合には、あらかじめ、議会の議決を経なければならない。」とされてぃるところでございますので、取組の進捗に応じて、適切な時期に議会へ報告を行ってまいりたいと考えております。

●質問

事業契約の締結時に初めて議会の承認を得るということです。PFI法では、議会承認は契約時のみ必須ですが、その他、市民や議会への報告、公表は規定されていない。

市民の意見などはどうやって反映されるのか?どのタイミングで市民への意見を聞くのか?

◎答弁

民間活力導入に向けた具体的な検討を進めるにあたりましては、マーケットサウンディング及び民間提案の審査結果や、これまでの議会等における議論などを踏まえながら、市民や地域の方々の御意見などを適切に反映する仕組みなどについて検討してまいります。

●質問

市民や地域の方々のご意見などを適切に反映する仕組みなどについて検討していく、との答弁でしたが、マーケットサウンディングの実施結果後に示されたとおり、民間活力の導入に向けた方針案の公表前に、市民意見聴取や利用団体調整を実施することが記載されていますので、このことをしっかりやっていくことを要望します。

パークPFIについて

川崎市都市公園条例の改正で、公募設置管理制度(パークPFI)が創設された。等々力緑地なども対象となり、緑地再編整備の事業提案のなかで、パークPFIも事業手法の一つとしてあげられている。

都市公園の機能・目的との関連について

都市公園法運用指針では、「都市公園は、本来、屋外における休息、レクリエーション活動を行う場であり、・・生物多様性の確保等に大きな効用を発揮する緑地を確保するとともに、地震等災害時における避難地等としての機能を目的とする施設である」として、その機能・目的を「市民の憩いの場、緑地の確保、防災拠点」だとしている。

一方、P-PFIは、民間事業者を公募により選定することにより公園に収益施設が設置可能になる/収益施設としては、ホテル、遊戯施設まで設置可能になる/さらに特例措置として建蔽率も緩和される

公園の中に企業の収益施設が建設されるということは、公園本来の目的・機能に合致するのか?非常に疑問です。

この間、全国で大規模な開発が進んでいる。東京・上野公園では244 本の樹木が伐採されホテルの建設がすすめられており、これに反対する署名が2万7千筆に及び、奈良公園でも便益施設としてホテル建設が計画され3万4千筆の署名が集まるなど反対運動が起きているとして、いずれも住民の合意はなく周知さえされていなかった、など、全国で問題が出始めています。

収益施設が建設される場合、市民誰もが使えるスペース「公共のオープンスペース」は減ることにならないか?

◎答弁

公園内に収益施設を設置する場合には、公共のオープンスペースの一部を活用することも想定されますが、一方で、公園利用者へのサービスの充実や、公募設置管理制度を活用した周辺の園路・広場の整備など、公園の利便性、快適性、安全性の向上などの効果も期待できますことから、民間活力導入の検討の中で総合的に判断してまいります。

●質問

収益施設に「公共のオープンスペースを活用」するということですから、大規模な施設が建設される場合は、公共のオープンスペースが減ることは明らか/収益施設の中には、ホテルだけでなく、有料の遊戯施設も入っている/今まで誰もが無料で使えた空間が、有料となり誰もが使えるスペースではなくなってしまう。

建蔽率について

建蔽率の上限は12%となっていますが、現在の建蔽率を伺います。

◎答弁

現在、工事を進めております、等々力水処理センター高度処理施設の上部を含めた、都市計画事業認可区域約42.9へクタールに対しまして、現在の建蔽率は約9.5パーセントとなっております。なお、硬式野球場改築工事完了後におきましては、約11パーセントとなる予定でございます。

●質問

今でも11%で建蔽率ギリギリです。これ以上、施設を立てる余裕がない状態です。

今後、施設の建設で12%を上回る可能性がある場合、建蔽率の上限を上げることは可能なのか、伺います

◎答弁

都市公園法第4条第1項のただし書によれば、地方公共団体は、自らが設置する都市公園に係る建蔽率の基準の特例について法の規定を参酌して条例で定めることができるとされているところでございます。今後、再編整備を進めるにあたり、建蔽率の基準の見直しにつきましても、公園の魅力向上や賑わいの創出、効率的・効果的な管理運営の視点を踏まえ、十分に検討してまいりたいと考えております。

●質問

建蔽率はあくまでも参酌規定です。条例改正すれば、いくらでも建蔽率を上げることは可能で、収益施設の建設は可能になってしまう。

緑地の保全について

●質問

川崎市は、他の政令市と比べても緑地が少ないと思いますが、

都市公園の箇所数及び面積、さらに人口当たりの割合は、他の政令市との比較で何番目になっているのか?

◎答弁

本市の都市公園の設置状況といたしましては、平成30年3月末時点におきまして、都市公園数、 1,153箇所、都市公園面積、約611へクタールとなっております。

次に、市民一人当たりの都市公園面積は、約4平方メートルとなっており、政令指定都市の比較では、 19番目となっているところでございます。

●意見・要望

市民1人当たりの都市公園の面積では、政令市ワースト2位/これ以上、緑地を減らすわけにはいかない。

・P-PFIに基づく収益施設の建設について、民間事業者の収益施設のために、公共のオープンスペース、緑地の保全、防災拠点という都市公園本来の機能・目的が損なわれる恐れがある。さらに、議会への承認は必須規定ではなく、市民の意見・要望を聞く機会も保証されていない。等々力緑地再編整備事業にP-PFIの手法は取り入れるべきではないことを求めておきます。

・PFI法に基づく民間提案制度について、議会への承認が入札時のみで、市民意見を反映させる仕組みがなく、市民意見が取り入れられる保証がありません。

->方針案・公表前後に、市民の意見・要望を取り入れる仕組みを設けることをあらためて要望します。