むねた裕之
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卸売市場経営プランー直営を維持し、取引ルール原則の維持を

7月3日、日本共産党、宗田裕之議員の一般質問を紹介します。

一般質問写真

●質問

私は、通告通りの順番で、一問一答方式で質問していきます。

川崎市卸売市場経営プラン改訂版について、経済労働局長に

18年6月の卸売市場法の改正に伴って、川崎市卸売市場経営プランが改訂されました。

 卸売市場は、生鮮食料品の流通における基幹的インフラです。青果、水産物においては、国内流通の5から6割程度が卸売市場を経由しており、国産青果物に限ってみれば流通量の8割が卸売市場を経由しています。このような中で、卸売市場は、「価格形成」機能、「需給調整」機能、さらに「品質評価」機能を担っており、これまで生鮮食料品の生産と流通、消費における価格形成、品質保証などにおいて、重要な役割を果たしてきました。

特にセリの原則は、豊富な情報量を持つ卸業者、仲卸業者の役割がきちんと発揮され、生鮮品の取引価格、相対取引など直接販売の指標となっています。しかし、1971年、1999年、2004年の同法「改正」で、数々の原則の規制緩和が行われ、制度の根幹を掘り崩してきました。今回の卸売市場法「改正」は、現行の83の条文が19に削減されており、一部「改正」どころか、全面的な改定となっています。

まず、卸売市場の公的役割についてです。

今回の法改定で、国が整備計画を立て、中央卸売市場の開設者を自治体とし、卸売業者も国による許可業者としてきた厳格な規制を廃止します。認可制を認定制に変え、民間企業も開設者となることができるなど市場制度の根本を変更するものです。

開設者について、将来的に市直営から民間へ移行することも考えられるのか?

◎答弁

「川崎市卸売市場経営プラン改訂版」では、卸売市場の運営体制について、効率性と公共性のバランスを取りながら、社会環境の変化等に迅速・的確な対応を可能とする柔軟な運営体制を選択する必要があるものとしているところでございます。

しかしながら、国は、来年6月の改正卸売市場法の施行から5年後を目途に必要に応じて同法の見直しを予定しているなど、制度転換の過渡期にある現況等を踏まえ、当面の運営体制といたしましては、北部市場は市による直営体制を、南部市場は指定管理者による運営体制を維持することとしております。

●質問

「当面、現行体制を維持し、北部市場は市直営、南部は指定管理とする」ということです。しかし、基本方向としては「効率性と公共性のバランス及び環境変化への迅速・的確な対応を可能とする柔軟な体制を選択する」としています。

もし開設者が民間企業になれば、地方議会の条例で決められてきた市場に係る業務規定を、開設企業が決めることが可能となり、市場の公的役割は大幅に後退してしまいます。将来的にも、市直営を維持するよう求めておきます。

取引ルールの原則についてです。

今回の法改定では、中央卸売市場での「取引原則」とされた仲卸業者と開設者が許可した売買参加者以外には販売できないという「第三者販売の禁止」原則、仲卸業者は卸売業者以外からは買えないという「直荷引きの禁止」原則、卸売市場における卸売の業務については市場内で取引するという「商物一致の原則」が、法規定から削除され、国による規制は行わず、各市場の判断に委ねられました。

プラン改訂版では「その他の取引ルール」は原則自由化とあるが、どのようなルールを自由化するのか?

◎答弁

本市といたしましては、卸売市場の活性化を図る観点から、取引しやすい環境を整え、できるだけ取引の規制を緩和することとし、市場関係者の理解を得ながら現行法で規制されている「第三者販売の禁止」や「直荷引きの禁止」、「商物一致の原則」などについて、原則自由化を検討しているところでございます。

●質問

「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」の自由化について

法改定で「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」が削除されたことにより、卸売業者や仲卸業者と、大手のスーパーや外食産業との直接取引が拡大します。これにより買い手の力が強くなることで、買いたたきが起こり、市場で「公正な価格形成ができなくなる」との懸念がでています。またこうした買い手の強化は、生産者価格の低下にも影響します。

市のプラン改訂版では、「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」を原則自由化するとしていますが、これらの原則は維持すべきと思いますが、伺います。

◎答弁

現行の業務条例におきましては、「第三者販売の禁止」は、例外として、入荷量が著しく多い場合など、一定の条件下での事前の許可申請により、第三者販売が可能となっております。

また、「直荷引きの禁止」は、例外として、卸売業者から仕入れることが困難な場合など、一定の条件下での事前の許可申請により、卸売業者以外から仕入れることが可能となっております。

現状はこのような例外規定により、頻繁に第三者販売や直荷引きが行われております。このような現状を踏まえますと、市場活性化を図るためには、市場内事業者の経営に過度な影響を及ぼすことがないよう配慮しつつ、卸売業者の集荷及び販売力の強化につながる第三者販売や、仲卸業者の品揃えを充実させ顧客へのサービス向上につながる直荷引きについて、原則自由化とし、取引しやすい環境を整える必要があると考えているところでございます。

●質問

この規制緩和で、特に、卸の第三者販売を認めることは、大手スーパーなどとの直接取引が可能となり、買い手の力が強くなることで、「公正な価格形成ができなくなる」との懸念は、卸、仲卸をはじめ出荷組織からも多く上がっている。日本農業新聞は「第三者販売が認められれば、大手が良いものを買い占め、入手できるのは残り物。小さな業者は欲しいものが買えなくなり、商売ができなくなる」と紹介。さらに第三者販売は、事実上の産地と大手スーパーの直接取引になることから、大手スーパーの力で「大根1本1円」とか「キャベツ1個1円」などと特売日に合わせた買いたたきへの不利益も懸念される。

「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」の原則は維持すべきことを求めておきます。

「商物一致の原則」の自由化について

今回の法改定で「商物一致の原則」が削除されたことにより、商取引は市場が行いますが、物品は大型産地、輸入商社、冷凍業者が市場を通さず、大手スーパー・加工業者・外食産業などへの直接出荷も増大します。これらが実施されれば、仲卸業者の購入量が減り、また、仲卸業者を頼りにしている小売店にとっても大変な影響を受けます。

市は「商物一致の原則」も原則自由化するということですが、この原則は維持すべきと思いますが、伺います。

◎答弁

現行の業務条例におきましては、例外として、取引の秩序を乱すおそれがない場合など、一定の条件下での事前の許可申請により、卸売業者が指定した場所での販売が可能となっており、現状は、一部でこうした例外規定に基づく取引が行われています。

また、現在は、生鮮食料品等の規格化が進み、一定の品質が保証される商品などは、市場を経由する意義が薄れており、市場活性化を図るためには、市場での集荷状況に配慮しつつ、「商物一致の原則」を原則自由化とし、取引しやすい環境を整える必要があると考えているところでございます。

●意見・要望

これらが実施されれば、これまで卸売市場を支えてきた中小の仲卸業者にとって、卸売市場での生鮮食料品の購入が困難となります。仲卸業者の「目利き力」に依存していた専門小売商、料理店、すし店などの買出人の仕入れを困難にし、その営業にも大きな影響を与えることになります。

「商物一致の原則」は維持すべきことを求めておきます。