むねた裕之
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一般質問・緑の基本計画―緑地面積は大幅に減少/地権者を訪問する体制の強化を

6月26日、宗田議員は、緑の基本計画について一般質問を行いましたので、紹介します。

川崎市の緑地面積は政令市で最も少ない都市の一つ

質問 宗田議員

「川崎市緑の基本計画」が10年ぶりに改定されました。まず、川崎市の緑地の現状と10年前の計画の目標と到達についてです。

川崎市の緑地面積は、全国平均、大都市平均を大きく下回り、政令市で最も少ない都市の一つです。一人当たりの都市公園面積は、3.9㎡で大阪市に次いでワースト2位です。市域面積に対する緑地の割合では、29.9%で、緑地のすべての要素を含んでも政令市の中では下から5番目です。川崎市より低い都市のうち3都市は水辺の面積を入れていません。川崎市の緑地は、運河部分も含む水辺の面積が全体の46%を占めており、これを除くと川崎市の緑地の割合は16.2%となり、政令市でも最も低い都市の一つをなります。このことからも川崎市の緑地を少しでも増やすことは、市の喫緊の課題です。

緑地も農地も減らしているのに、さらに減らす目標でよいのか?

しかし、この10年間の実績はどうでしょうか。10年前の緑地保全の2017年までの目標は、272haでしたが、実績は242haと達成できていません。農地の目標は、416haでしたが、10年前の413haよりさらに減らして実績は365haとなり、増やすどころか大きく減らしています。今回の目標は343haとさらに22haも減らすという目標となっています。

市は、緑地保全、農地の目標を達成できなかった原因をどのように考え、どのような対策を立てているのか、伺います。また、ただでさえ大きく減らしている農地について、さらに下回る目標を立てるべきではないと思いますが、見解を伺います。

答弁 建設緑政局長

初めに、樹林地や農地の保全につきましては、本市は 市街化区域が市域の88パーセントを占め、土地需要が旺盛であること、また地権者の相続に伴う士地利用の転換などが活発なことから、保全目標の面積を下回ったものと考えているところでございます。樹林地等の保全施策の目標は、地権者の御理解と御協力をいただくことで達成できるものでございますことから、引き続き、地権者に対する保全制度の普及啓発に取り組むことにより、貴重な自然的環境資源の保全に努めてまいりたいと考えております。次に、農地の施策目標につきましては、今後、生産緑地地区の大半が指定後30年を経過し、指定解除が可能となることによる農地の減少や、関係局による施策の実施による増加も勘案し、この度の目標値を設定したところでございます。今後も、農業施策との連携により、都市における緑の保全及び創出に努めてまいりたいと考えております。

質問 宗田議員

ただでさえ、本市は緑地が少ないのに、この10年間で目標を達成できず、農地は増やすどころか減らす結果となったことは、重大です。さらに、生産緑地の指定解除の問題が出てくることを考えると、いままでの施策の延長ではだめで、特別の手立てが必要だと思います。

保全すべき緑地も大幅に減少しているのに未対策が3~6

質問 宗田議員

緑地総合評価制度についてです。本市では、保全すべき緑地を見きわめるために、1,000平方メートル以上のまとまりのある緑地を対象に、A、B、Cの3段階にランクづけを行う緑地総合評価を実施するとともに、個々の緑地の状況を把握した緑地保全カルテを作成し、その保全に努めています。2002年に制度を作った当時は約700haあった保全すべき緑地が現在は622haまで減少しています。保全すべき1000㎡以上の樹林地・農地は、この10年間で158ha減少しており、さらに施策対象外の300㎡以上1000㎡未満の樹林地はこの10年間で305haも減らしています。保全すべきなのに保全の対策が取られていない緑地は、Aランクで32%、Bランクで57%にも達しています。高津区でAランク、Bランクの樹林地の状況と、未施策の割合と具体的な箇所を伺います。

高津区でも10年間で樹林地は2割減、宅地は15%増

答弁 建設緑政局長

高津区内には、Aランクの樹林地が51か所、約48ヘクタール、 Bランクの樹林地が54か所、約17ヘクタールございます。 その中で、緑地保全施策を実施していない樹林地の割合は、 Aランクが23パーセント、 Bランクが72パーセントでございます。 なお、このうち面積が大きい樹林地は、新作1丁目の 市民プラザ周辺と、久末の久末小学校周辺に集中している状況でございます。

質問 宗田議員

高津区は、この10年間で樹林地は106haから96.7haへと1割近く減少。農地も直近10年間で2割減らしています。その間、人口は20万5000人から23万人へと1割以上増加し、宅地は、直近10年間で15%増加しています。

そういう中で、Aランクの樹林地の23%、Bランクの72%に対して対策が取られていないことは、大きな問題です。放っておけば、どんどん樹林地や農地が宅地化されてしまいます。この問題でも、地権者に対しての特別の啓発活動が必要です。

高津区の公園未整備地域は、坂戸小学校区と高津小学校区

前の基本計画では「小学校区ごとに町丁目の3分の2の数の公園を整備する」ことを目標としていました。この基準でいくと公園の未整備地区は29地区で46か所の公園が未整備のまま残っています。それにもかかわらず、街区公園の用地取得は、16年度、17年度ともにゼロです。

市として引き続きこの目標を掲げるのか、伺います。高津区の未整備地区を伺います。高津区の未整備の公園を減らすためにどのような対策を立てているのか、伺います。

答弁 建設緑政局長

初めに、身近な公園である街区公園の整備目標につきましては、本年3月に改定した「緑の基本計画」において、公園配置の目標を引き続き、小学校区を構成する町丁目の3分の2の地区における公園の充足に努めることとしたところでございます。 次に、高津区において、街区公園が不足している小学校区は「坂戸小学校区」と「高津小学校区」の2か所となっております。 次に、街区公園の整備につきましては、借地をして公園を整備する手法などについて、地域の方々が参加される「管理運営協議会・公園緑地愛護会合同連絡会」において説明し、公園整備につながる土地所有者の情報を提供いただくなど、地域の方々とともに取組を推進してまいりたいと存じます。

要望 宗田議員

高津区内の公園の未整備箇所は、高津小校区で1か所と坂戸小校区で2か所/対策としては、借地を公園に転換する手法を使い、地域の方々が参加される連絡会に出向いて情報収集をしていくということでした。

相続、生産緑地解除の情報をつかみ、地権者に訪問する体制を

緑地保全、総合評価制度、街区公園について質問してきましたが、目標は達成されず、緑地は減少し続けています。特別の手立てが必要だと思います。

本市の緑の保全の手法はとても多彩で、すぐに市が買い上げなくても地権者の協力で保全できるなど、川崎方式と呼ばれて全国からも注目を集めています。国も協定を結ぶと20年後には相続税を2割減免する市民緑地制度なども創設しています。これらの制度を緑地を所有する地権者に広く知らせ、地球環境保全のために協力をお願いすることが何よりも急がれる仕事です。ある地権者は「かつては役所の方が顔を出して保全の相談に来ていたが、近ごろは全く来なくなった。是夫、相談に乗ってほしい」という声も聞いています。しかし、実際に地権者を訪問して説明するなどの体制はわずか3人ということです。ぜひ、体制の増員を要望します。相続や生産緑地の解除など地域の情報をつかむ対策を要望します。