むねた裕之
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12月議会・代表質問ー行財政改革について

代質・写真

12月7日、日本共産党を代表して、私、宗田裕之が2017年第4回定例会に提案された諸議案、並びに市政一般について質問を行いました。

行財政改革についての質疑を紹介します。

質問

行財政改革について、市長に伺います。

昨年策定した行財政改革プログラムでは、現状と課題において、人口減少や財政の硬直化を強調。それを理由に利用料・手数料など市民負担増を押し付け、また、高齢者施策を見直しました。その結果、高齢者見守り事業など高齢者に喜ばれていた施策を削減・廃止し、小学校ふれあいデイサービス事業・デイセントー事業も2017年度末で廃止されるなど、市民サービスが削減されました。削減の矛先が弱者に向けられていたのが特徴でした。

第2期プログラムでも課題のトップとして取り上げられているのは、人口減少です。しかし、総合計画のところでも述べたように、現在の人口より減る時期が大幅にずれて、むしろ人口増加や需要増のための対策が急務です。人口減少を課題の第一に挙げるのは、実態に合っていません。財政運営の問題では、昨年の行財政改革プログラムにおける「財政の硬直化が一層進んでいる状況」という文言は削除され「本市の市税収入は堅調に推移している」という文言に代わりました。わが党も9月議会の2016年度決算で「財政が厳しい」という根拠は一つもなく、むしろ政令市で最も豊かな財政力を持っていることを明らかにしました。

 このように行革の根拠がなくなっているにもかかわらず「市民サービス等の再構築」では、市民サービスの見直しが目白押しです。昨年のプログラムと同様、「高齢者外出支援乗車事業」、「重度障害者医療費助成制度」、介護保険外の市単独事業、「成人ぜん息患者医療費助成制度」などが見直しの対象になっています。いずれも市民にとってなくてはならない施策であり、拡充こそ求められています。財政力はあるのですからこれ以上市民サービスを削減すべきではありません、市長の見解を伺います。

答弁

これからの本市の人口推移をしっかりと見据え、多様 化.増犬化する市民ニーズや地域課題に的確に対応していく必要がございますことから、さまざまな社会経済状況によるリスクや本市の財政状況等を常に意識しながら、緊張感を持って、行財政運営に臨むべきものであると認識しております。市民サービスにつきましては、民間におけるサービスの提供状況や、事業の持続可能性、また、世代間における受益負担の公平性などといった観点から、必要なサービスを、より質の高いものとして確実に届けるため、将来を見据えた再構築を進めるものでございまして、今後、具体的な取組の推進に.当たりましては、そうした趣旨を広く市民の皆様に丁寧に御説明しながら、取り組んでまいりたいと存じます。

再質問

総合計画で「少子高齢化の進展、人口減少への転換」をあげ、行革でも人口減少が課題として挙げられていることに対し、それらは行革の理由にはならないことを指摘。増大するニーズに対応することこそ必要と述べてきました。総合計画についての答弁では「当面の人口増加に伴う需要への対応」が必要と述べ、行革の答弁では「多様化・増大化する市民ニーズや地域課題に的確に対応する」ということで、むしろ現在の課題は、人口増加に伴う市民ニーズへの対応が必要というものでした。財政難という答弁は消え、「財政状況等を常に意識しながら緊張感をもって臨む」という答弁に代わりました。人口減少、財政難という行革の根拠がなくなったにもかかわらず、「市民サービス等の再構築」では、高齢者や障がい者などギリギリ残った市民のサービスが見直し・検討課題になっています。これ以上市民サービスを削減するような項目は行革から外すべきです、市長に伺います。

当面の課題は、人口増加に伴う需要増にどう応えていくかです。昨年の行財政改革プログラムの元となった「川崎市の行財政改革に関する研究会報告書」では、重度障害者医療費助成制度について、民間での代替可能性はなく、ニーズはさらに増大するという評価で、現在、18752人が利用しています。高齢者外出支援事業については、「類似のサービスが民間になく」、ニーズはさらに増加するという評価で、現在、高齢者特別乗車証明書の対象者は20万人、フリーパスは15万人の方が利用しています。2016年度高齢者実態調査でも高齢者外出事業について6割以上の方が「今のままの制度が良い」と回答しています。成人ぜん息患者医療費助成制度は、患者数は、現在6831人で、とくに北部で急増しており、この間、年間300人前後増加しています。指摘してきた制度は、どれも民間に代替できるような制度ではなく、市民ニーズはますます高くなっており、市民の健康を維持し増強するために、なくてはならない制度です。見直しどころか、むしろ拡充すべきです、市長に伺います。

答弁

将来確実に訪れる人口減少への転換や、少子高齢化の急速な進展など、これまで経験したことのない社会状況の変化が見込まれる中、リスクや本市の財政状況等を常に意識しながら、多様化、増大化する市民ニーズや地域課題に的確に対応し、必要な市民サービスをより質の高いものとして提供できるよう、切れ目のない改革に取り組んでまいります。

最後の意見

論戦で、行革を行なう根拠として「人口減少」「少子高齢化の進展」は成り立たないことが明らかになり、私たちがこれまで散々指摘してきたように「財政が厳しい」論も破たんし使えなくなったと思ったら、市長が代わりに持ち出したのは「これまで経験したことのない社会状況の変化が見込まれる」という理由でした。

 「これまで経験したことのない社会状況の変化」とは一体どういう状況を想定しているというのでしょうか。想定が困難な状況をなぜ見込まないといけないのでしょうか。結局、市民サービスへの市税投入を抑制するための論拠をあれこれ探しているとしか思えません。

かわさきパラムーブメントを目指すというのなら、障がい者が気軽に楽しめるスポーツ施設の整備、リストラで職場を追い出され、生活基盤を失う恐れがある労働者に心を寄せる取り組み、介護保険料の値上げ抑制、小学校給食費の値上げ抑制など自治体の果たす役割が今ほど強く求められているときはありません。この立場に立ち返ることを要望します。