むねた裕之
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決算・総務分科会ー「財政が厳しい」というのは行革の理由にならない

9月23日の決算特別委員会、総務分科会での私の質問、答弁を紹介します。

行財政改革について

決算に関連して行財政改革について伺います。

「財政が厳しい」ということを理由に行財政改革を進め、昨年10月からは福祉電話相談事業、高齢者外出支援サービス事業、高齢者住み替え家賃助成事業の見直しや廃止を断行しました。

(行財政改革の根拠・・財政)

行財政改革の必要性について、その根拠は何ですか?伺います。

(答弁)15年度決算では、本市の財政状況は引き続き厳しいと認識している。多様化するニーズに的確に対応しながら必要なサービスを提供する。

 

・2015年度決算は「財政状況は引き続き厳しい」という答弁でしたが、財政局が出している15年度決算の「決算見込みの概要」では、昨年あった「財政が厳しい」という文言は一言もありません。

・行革の根拠についても、策定方針を作った一昨年と今年では大きく違っています。

・今回の行財政改革プログラムのもととなった、一昨年8月の「行財政改革に関する計画策定方針」では、行革の必要性について「扶助費の増大」「減債基金からの借入」「一般財源の増額はほとんど見込めず」「収支不足は恒常化」し「現行のサービス水準を維持することも困難な極めて厳しい状況」ということで、上記の3事業の見直し、廃止を断行しました。

・しかし、今年3月の「行財政改革プログラム」では「収支不足」「減債基金」「財政が厳しい」という文言は消えました。

・15年度の決算で市税は3年連続過去最高で初めて3000億円を超え、減債基金から借り入れどころか10億返済、財政調整基金にも21億積み立てした上に2億余剰が出て、実質33億円も収支はプラス

・16年度についても、国の推計でも市税収入がさらに伸び基準財政収入額76億増、需要額と差し引きで70億も増加しています。15年度よりも収支はさらにプラスになると国は算定しています。

―>18年度までは収支はマイナスという収支フレーム自体見直すべきです。

・「扶助費の増大」・・扶助費の比率は1.6%増の27.3%となりましたが、実際の市の負担分(経常収支比率)19.0%でほとんど変わらず、逆に市税収入が伸びたために経常収支比率は2%下がりました。

―>扶助費の増大が財政を硬直化させ、財政を厳しくしているという根拠にはなりません。

以上のことから行財政改革の根拠のうち、扶助費が増大して「財政が厳しい」という根拠は成り立たないのではないでしょうか、見解を伺います。

(答弁)扶助費は引き続き増加している。超高齢化社会の到来も見据える中で推進する。

 

・「扶助費は引き続き増大」?・・増えているといっても市の負担分、経常収支に占める割合はほとんど変わっていません。扶助費の増大以上に市税収入が伸びているために経常収支比率は現に下がっています。

・「超高齢化社会の到来」?・・川崎市の人口は14年後まで増加、現在の人口よりも減少するのは29年後。生産年齢人口も9年後まで増加。これも行革の根拠にはなりません。

(残っている行財政改革の根拠・・社会的ニーズの変化)

・昨年の「川崎市総合計画」の策定に合わせて「行財政プログラム」を策定し、その計画1年目のサマーレビューが発表されました。その課題一覧の中の「重度障害者医療費助成制度」「高齢者外出支援事業」「成人ぜん息患者医療費助成制度」の3つの事業が見直しの対象に上がっています。なぜ、3つの事業を行革の対象にしたのか伺います。

重度障害者医療費助成制度はどのように見直し、その理由は何ですか?

(答弁)対象者数が増加し、市の負担も年々増加。重要な制度であると考えているので、事業費の推移等を見極めながら方向性を検討。

 

重度障害者医療費助成・・「事業費の推移等を見極めながら」という答弁ですが、

・川崎市が委託した「行財政改革に関する研究会」の報告書(今回の行財政改革プログラムのもと)では、この事業は「民間での代替可能性」なし=行政にしかできない事業であり、対象者18260人、今後の見通し「増大」=ニーズは増大すると書かれています。

・障がい者団体との懇談では、(入院費用も)要望が出されており、「障がい者の家庭の8割が貧困状態」切実と訴えられました。

―>重度障害者医療費助成制度は、むしろ拡充すべきです。

 

高齢者外出支援事業はどのように見直し、その理由は何ですか?

(答弁)今年度実施する高齢者実態調査等の結果を踏まえながら方向性について検討。

 

高齢者外出支援(敬老パス)・・「実態調査の結果を踏まえながら」との答弁でした。

・「行財政改革に関する研究会」の報告書では、この事業は「類似のサービスが民間にない」=行政しかできないこと。交付数32万件で高齢者の7割が持っており6割の高齢者が利用=高齢者にとってはなくてはならない制度で、ニーズはさらに増加していることが、指摘されています。

・他都市とのサービス比較「他都市を下回る水準」ことです。

―>むしろ拡充すべきです。

 

成人ぜん息患者医療費助成制度は、どのように見直し、その理由は何ですか?

答弁)16年12月に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づき、国が「基本方針」を策定する予定なので、国の動向を注視しながら検討。

成人ぜん息患者医療費助成・・「夏に発表される国のアレルギー疾患対策基本法の基本方針を踏まえて」と答弁。

・川崎市のぜん息患者は増加しています。児童のぜん息患者率の全国平均は4%。川崎市の平均は9.56%で全国平均の2.39倍。患者数は現在6486人、1年間で1120人も増加しています。環境省の「大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査結果」では、自動車排気ガスとぜん息発症との関連性が認められ、市内でも東名高速などがある北部で患者数が急激に増えています。

―>むしろ拡充すべきです。

・この3つの事業はどれも社会的ニーズは高まっており、切実な要求です。

この3つの事業のように社会的ニーズが高まっていて切実な事業については、サービスの削減ではなく、拡充する方向で見直すべきと考えますが、見解を伺います。

(答弁)今後も多様化・増大化する市民ニーズや地域課題に的確に対応する。

 

・「多様化・増大化する市民ニーズに対応」ということですが、これら3事業はニーズは増大しているわけですからぜひ、拡充の方向でお願いします。