むねた裕之
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核廃絶に向けた世界の流れと日本政府の態度ー核兵器禁止条約交渉開始に棄権、核先制不使用に反対

日本共産党の17年度予算要望にむけて、この間の核廃絶、平和問題での世界情勢と日本政府の対応についてまとめましたので、紹介します。

広島、長崎の被爆から71年を経て、核兵器の禁止・廃絶へ、世界が大きく動こうとしています。

2015年、5年に一度の核不拡散条約(NPT)再検討会議が国連で開催され、日本からは1000人を超す代表団、市民が参加し、633万筆の署名が提出されました。NPT再検討会議では、核兵器の非人道性を告発し、「核兵器の人道的影響に関する」共同声明への賛同は160カ国(史上最大)、国連加盟国の8割にぼっています。

毎年の国連総会では「核兵器禁止条約の国際交渉を開始する」ための決議が圧倒的多数の賛成で採択され、2015年、その法的措置を議論する作業部会が設置され、核兵器禁止条約を本格的に議論する画期的な会議が、2016年2月から開かれています。8月には作業部会の最終会合が国連欧州本部で開かれ、9月の国連総会に対し、核兵器禁止条約の交渉を2017年に開始するよう勧告しました。これには国連加盟国の過半数となる106か国の支持がありました。

2016年5月には、オバマ米大統領が広島を訪問。原爆を投下した核超大国の現職大統領が爆心地の公園に足を運び、被爆者を前に「核兵器なき世界を追求」すると演説。8月にはオバマ大統領は核兵器の「先制不使用」など「核兵器なき世界」に向けた米国政府の政策変更を検討していると報道されています。

一方、日本政府は、国連総会での核兵器禁止の国際交渉開始を求める決議案に対して1996年に初めて提案されてから2015年の総会にいたるまで20年連続で「棄権」しています。

先ほどの作業部会の設置に対しても「棄権」し、「棄権」したのに会議に出てきて核保有国が主張する「段階的アプローチが現実的」などと核保有国の代弁者として振舞い、8月の国連総会に対する核兵器禁止条約の交渉開始を求める勧告に対しても棄権しました。

オバマ大統領の核兵器の「先制不使用」に対しても安倍首相は「抑止力を弱める」として反対の意向を示したと報道されるなど、唯一の被爆国とはとても思えない態度を示しています。

被爆71年をへて、唯一の被爆国である日本政府が、被爆国にふさわしい役割を発揮するべきです。非核三原則の厳守とアメリカの「核の傘」から離脱をして、核兵器禁止条約の実現に向けて先頭に立つべきです。