むねた裕之
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代表質問ー東芝のリストラについて

石田議員写真

9日の代表質問で、東芝のリストラについて、大庭議員と私が質問を担当して書きましたので紹介します。

これほどの大量リストラを、なにか他人事と考えているような答弁でした。しかし、厚労省の通達では、地方自治体がもっと積極的に関与して雇用対策本部を設置するように要請する内容でした。これに沿って、ぜひ、川崎市は市長が率先して東芝リストラの雇用対策本部の設置を労働局に働きかけるべきだと思います。

 

(質問)

東芝のリストラについてです。

2015年12月に1万600人の人員削減を打ち出した東芝は、3月18日発表の「16年度事業計画」では、3月末までに削減数を1万3820人に拡大、4月15日には1万4450人、さらに2017年3月末までに、3万4000人を削減するものです。

他社へ転籍を迫られている女性は、「親の介護もあるうえ、通勤時間が2時間以上になる」、40代の男性は「関連会社への転籍前提の出向命令が出て、拒否したら4月から担当業務はないと言われた」、育児休業中に退職勧奨を受けた女性は、「不本意だったが退職した」などの声が寄せられています。粉飾会計の財務処理による長時間過密労働、過度なプレッシャーのため、健康被害や休職などの実態も深刻です。

厚生労働省は2013年3月27日付通達で、「地方労働局が具体的な情報を把握すること」、「企業に対し雇用維持努力を要請すること」、「地方公共団体とも連携して雇用対策本部を設置し、積極的に対応を図ること」などを求めています。 

東芝青梅事業所がある青梅市と羽村市の両市長は、地域に与える影響が大きいと、3月に事業所の存続を求める申し入れを東芝の社長に行ないました。わが党が3月議会で東芝のリストラについて具体的な対応策を市長に聞いたところ、「様々な施策を実施してきた」と答弁されました。リストラ問題で実施してきた「様々な施策」とは何か、具体的にお答えください。「様々な施策」には厚労省の通達に基づいた労働局と連携した対応も含まれているのか伺います。「様々な施策」でどのような効果があったのか、伺います。

今後さらなるリストラの拡大計画があることから、厚生労働省の通達にあるように、企業に対し雇用維持努力を要請すべきです。市長に伺います。また、地方公共団体とも連携して雇用対策本部を設置し、積極的に対応を図ること」とされているわけですから、労働局と連携して雇用対策本部を設置し対応すべきです。伺います。下請け企業や地元商店街などに与える影響についても実態調査すべきです。市長に伺います。

(答弁)市長

これまでも労働相談窓口やキャリアサポート川崎での就業支援を行っているほか、神奈川労働局を通じて、求職者等に対し、本塩就業支援事業を情報提供していただく。

企業における雇用や労働条件等の問題については、関係法令を遵守しながら適切に労使間の協議がなされ、真摯な対応が行われるべきものと考えている。

雇用対策本部の設置については、国・県・市のそれぞれの役割・責務に基づき、適切に対処すべき者と考えている

(再質問)

東芝のリストラについて再度市長に伺います。              【市長】

厚労省の通知では、「1ヵ月以内に30人以上の離職者が発生する場合」は、大量雇用変動届け、再就職援助計画を提出しなければならないとしています。今回のケースはこれに当たると考えますが、その情報提供について市長に伺います。

雇用対策本部の設置は、雇用調整の規模が大きく、地域経済に対する影響の程度が甚大である場合、必要に応じて労働局長を本部長として地方公共団体からなる対策本部を設置するとあります。しかも通知には「労働行政の迅速で的確な対応が期待される」とあります。

今回の東芝のリストラは1万4000人規模であり、リストラ対象である半導体部門のある東芝小向工場が幸区にあります。まさに地域経済に大きな影響を与えるリストラ計画です。「迅速で的確な対応」という点では、沖縄県が137人規模のコールセンターの閉鎖で公表した翌日に沖縄労働局は雇用対策本部を立ち上げています。答弁では「国、県、市それぞれの役割・責務に基づき、適切に対処すべき」とありました。リストラの直接の被害を受ける労働者がいて、直接、経済的な影響を受ける川崎市として、雇用対策本部の設置を神奈川労働局に働きかけるべきです。伺います。

(答弁)市長

「大量雇用変動届け」等については、国は外部に情報提供するものではないとしている。

雇用対策本部の設置については、国・県・市のそれぞれの役割・責務に基づき、適切に対処すべき者と考えており、引き続き、関係機関との情報交換に努める。

(再々質問)

東芝のリストラについてです。                    【市長】

2013年3月27日の厚労省通達では、労働局がリストラ企業に対して「離職者の発生をできる限り最小限にとどめ、雇用維持の努力を行うよう要請する」とされると同時に、「リストラ企業における雇用調整の規模が大きい場合には地域住民等の雇用不安が急激に拡大する可能性がある」などから雇用対策本部を設置するとされています。

また、労働局に対して「地方公共団体が主導の下、合同実施の呼びかけがあった場合は、労働局がそちらに参画するなどして柔軟な対応を図る」と地方公共団体からの設置の働きかけに応えることが明記されています。

事前のやり取りで、市も「市内の離職者の数は把握している」「大量雇用変動届けのケースにあたると考えられる」と認識しているとのことですから、この通達の主旨に基づき、神奈川労働局任せにせず、雇用対策本部の設置を川崎市として労働局に働きかけるべきです。市長に伺います。

(答弁)市長

雇用対策本部の設置については、国・県・市のそれぞれの役割・責務に基づき、適切に対処すべき者と考えており、引き続き、関係機関との情報交換により状況の把握に努め、適切に対処する。

(意見・要望)

東芝リストラについてです。

先の厚労省通達では、雇用対策本部を設置する場合として、「短期間に多数の離職者が発生する」「複数企業の連鎖倒産が生じ、地元における影響が顕著である」に加えて、「当該地域の市町村議会、都道府県議会又は国会において…、質疑や要請が繰り返し行われることが予想される場合」をあげています。東芝のリストラ問題は、この間、国会、都道府県議会、川崎市議会でも質疑、要請が繰り返し行われてきました。

設置場所、本部長について通達では「地方公共団体主導の下、合同実施となった場合は、地方公共団体の長が本部長となることも考えられる」として、自治体の長が本部長になることも想定しています。この通達の主旨に基づき、神奈川労働局任せにせず、川崎市として雇用対策本部の設置を労働局に働きかけるべきことを要求したのに対し、市長は「適切に対処する」と答えました。これは、神奈川労働局に市長自ら働きかけることを含めた対応だと受け止めました。その方向でしっかりとした対応を行なうことを求めておきます。