むねた裕之
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予算委員会ー5年で認可保育園の待機児と特養ホームの待機者解消は可能!

予算議場写真

川崎市議会で、初めて予算特別委員会で質疑をしました。

まず、財政問題で、経常収支比率について、扶助費について、投資的経費について質問をし、5年で認可保育園の待機児と特養ホームの待機者の解消は可能であることを明らかにしました。

以下のその質問と答弁を紹介します。

 

(経常収支比率について)財政局長に伺います

・「今後の財政運営の基本的な考え方」で、社会保障関連費が増加し大きな割合を占めているため、経常収支比率が「高い状況が続いている」として、社会保障関連費の増加の低減に努めるとしています。

・しかし、経常収支比率が現在の値になったのは、社会保障関連費の上昇が最大の原因なのでしょうか?

(ディスプレイ1)

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・1990年度から2009年度までの経常収支比率を見てみると、二度の急激な上昇の時期があります。

・最近では、06年から09年度で、12月議会でやったように、この時期の経常収支比率上昇の最大の要因は、公債費だということを述べました。

・今回は90年度~98年度の時期を見てみます。この8年間で経常収支比率は72.6%から90.3%と70%台から90%台まで急激に上昇。

・この時期の経常収支比率の中身、公債費と扶助費を見てみます

(ディスプレイ2)

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90年度、98年度の公債費と扶助費の経常収支比率の構成比と増減を伺います?

(答弁)

公債費の経常収支比率につきましては、90年度11.3%、98年度17.6%で6.3%の増加。扶助費は90年度5.1%、98年度8.8%で3.7%の増加です。

・この時期、経常収支比率の各要素を見ると、一番増加しているのは公債費で、扶助費ではありません。

・公債費は6.3%増加、扶助費は3.7%の増加。構成比でも公債費は扶助費の2倍以上の比率です。

・グラフにあるように同じ時期、普通建設費が急激に増加しています。普通会計・歳出の構成比では、89年度23.4%だったのが91年度以降32.3%にまで増加し、96年度まで高い状態が続いています。

90年度~98年度、普通建設事業費は、89年度を基準にした場合、総額でどれだけ上積みされたのか?

(答弁)

89年度の事業費を基準にした場合、90年度~98年度の事業費の増加額の合計は3606億円となっています。

・90年度~98年度の9年間で約3606億円(年平均約400億円)も上積みされ、臨海部を中心に大規模事業がどんどん推進されました。

・浮島廃棄物埋立護岸事業など浮島に1400億円、また、東扇島のコンテナターミナル(埠頭建設)、FAZ物流センターなどに市費だけで300億円投じられました。

・これら大規模事業の市債の返済が90年代前半から始まり、公債費が上昇。返済期間が10年から30年ですから、現在まで続き、公債費が高止まりしている原因となっています。

●このように川崎市の経常収支比率を高くしている最大の原因は公債費の増大で、その要因は、90年代の大規模事業の推進による普通建設費の増大によるところが大きい。

●このことから大規模事業の選択をよほど慎重にしないと、経常収支比率の増大にもつながり、さらに何十年もの借金返済の重荷になることは明らかです。

(扶助費について)財政局長に伺います

・予算案では、一般会計での扶助費の構成比は26.3%ですが、このうち川崎市が負担する部分は一部です。他都市と比べられる最新の2013年度決算について伺います。

2013年度決算での扶助費の普通会計での額と構成比。市の負担分である経常経費充当一般財源での額と構成比は?

(答弁)

13年度の普通会計ベースの決算額は、1455億円で決算額に占める割合は25.1%です。また、経常経費充当一般財源等の額は557億円で経常趣旨比率は17.9%となっています。

・2013年度の一般会計での扶助費は1455億円(25.1%)ですが、経常経費では557億円(17.9%)との答弁でした。扶助費が他の歳出項目と大きく違う点は、扶助費の2/3近くは国と県で支出するためです。

2013年度の経常収支比率の中の構成比はどうなっていますか、多い順に?

(答弁)

13年度普通会計ベースの各性質別の経常収支比率は、高い順に人件費25.4%、公債費21.1%、扶助費17.9%、物件費15.4%、補助費等9.4%となっています。

・経常収支比率の中でも、人件費、公債費に次いで扶助費は3番目。

2013年度決算での人口一人当たりの扶助費の額は?政令都市の扶助費の平均額は?

(答弁)

13年度普通会計ベースの本市の人口一人当たりの扶助費は10万1000円、全政令市の平均は11万4000円となっています。

・2013年度でみれば、川崎市の人口一人当たりの扶助費額は、10万1000円で政令市平均の11万4000円を下回っています。

●このように、財政の硬直化の指標といわれる経常収支比率を高くしている最大の原因は、公債費であり、扶助費ではありません。また、川崎市の扶助費は他の政令市と比べても人口当たりでは平均以下で、必ずしも高いとはいえず、経常収支比率では3番目です。地方自治法の「福祉の増進」の見地から見れば、不十分。一方、公債費という借金返済が財政の中心になっています。

(投資的経費について)

現在の市の財政状況は、90年代の市債の償還も数年後には収束し、3年後には財政も好転する中、地方自治の本旨である「住民の福祉の増進」を進めるチャンスです。

・しかし、大規模事業などの取捨選択は相当慎重にする必要。そこで大規模事業などの投資的経費の中身について伺います。

・特に、市民から切実な要望が出ている認可保育園と特養ホームについて伺います。

認可保育園について)子ども本部長に伺います。

・今年4月入所に際して、2月1日時点で入所できなかった不承諾数は3007人と過去最高。認可保育園の増設は急務ですが、新年度の予算では、1390人分の計画でとても足りません。

・わが党は、待機児解消のために5年間で5000人分の認可保育園の増設を掲げています

・そこで伺います

120人定員の認可保育園の事業費、市負担分とその内訳は?/そこでの雇用者数は?

(答弁)

本市の整備基準では整備費用は2億4200億円、市の整備補助金は1億8100万円。その財源の内訳は、一般財源が1700万円、仔細が1400万円、国庫支出金が1億5000万円です。職員の雇用者数は、22人程度の職員が必要となっています。

・1ヶ所(120人)の本市の整備事業費1.8億円、そのうち国が1.5億円支出し、市負担分は3100万円。生み出される雇用は22人。

・待機児解消のためには42ヵ所5000人分が必要で、その財源(市負担分)は約13億/生み出される雇用924人

特養ホームについて)健康福祉局長に伺います。

・現在、特養ホームの待機者数は約5000人、この増設も急務です。

・わが党は、5年間で6000人分の特養ホームの増設を掲げています。

・そこで伺います

120人定員の特養ホームの事業費、市負担分とその内訳は?/そこでの雇用者数は?

(答弁)

総建設費は直近の整備施設を参考にしますと約22億1500万円、そのうち市の整備費補助金は7億2800万円で、その内訳は一般財源が1億400万円、市債が6億2400万円です。職員の雇用者数は介護職員、看護師、栄養士、事務職など世紀、非正規を問わず、延べ実人員は85人程度です。

・1ヶ所(120人)の総建設費22億円、市負担分7.3億円、生み出される雇用は85人

・待機者解消のためには50ヵ所6000人分が必要で、その市負担分は約365億円/生み出される雇用4250人(50ヵ所x85人)

●両施設、毎年10ヵずつ増設するには一般財源は16億円必要です。「財政運営の基本的考え方」の投資的経費の新規分・未定枠はH31年度25億円、32年度38億円、H35以降は50億円を超えており、16億円の支出は十分可能。5年~6年間で認可保育園の待機児5000人、特養ホーム待機者6000人の解消は可能です。

(川崎港コンテナターミナルについて)港湾局長に伺います。

・この間のわが党の代表質問でも、東扇島のコンテナターミナルと堀込部埋立について、その必要性について質疑をし、最後までその必要性については、明確な答えが得られていません。

そこで、伺います。

新たに建設するコンテナターミナル第2、第3バースと堀込部埋立の総額は?

第2、第3バースと堀込部埋立後の雇用者数の推計は?

(答弁)

コンテナ2号岸壁、3号岸壁に要する事業費は133億円、ガントリークレーンは18億円、堀込部の埋立は240億円と合計約391億円です。堀込部などに想定される雇用者数は、東扇島総合物流拠点築内に立地している冷凍冷蔵倉庫の面積あたりの雇用者数の実績を元に物流設置用地の増加により約380人の雇用が生まれると試算されます。

・新たに建設する第2,3バースと堀込め部埋立には総額391億円、雇用者数は約380人。

・一方、5年間で認可保育園5000人分、特養ホーム6000人分の市負担分の事業費は総額378億円、生み出される雇用は5000人を超えます。

●このように同じような事業費の投資的経費でも、雇用者数はコンテナターミナルでは380人、福祉施設では5000人以上とこんなに違う。福祉型投資の雇用効果は13倍以上。

●しかも、コンテナターミナルのコンテナの目標値は40TEUであるのに14年度の実績は6.8TEU。中国経済も伸び悩み、日本の輸出入数量は、26年度・前年度比で輸出+1.4%、輸入-2.1%です。川崎港だけが数年で6倍になるというのは考えられません。また、臨海部の大規模事業はこの他に羽田連絡道路、臨海道路東扇島水江町線など総額1230億円。これらの事業は、市民が使用するわけでもなく、市民にとって恩恵も必要性もまったく感じられません。

●一方、認可保育園、特養ホームは、市民の切実な要望です。しかも、こういう福祉型投資は、臨海部の公共事業と違って、地域経済を活性化します。

建設時は、地元建設業の仕事/運営すれば地元商店から食料・物品購入/保育士、介護職員などの雇用の増大/これにより雇用者の所得と業者の売上増え→税収の増加/経済効果は臨海部の公共事業と比べると桁違いに大きい。

●結論として投資的経費の使い方を改め、市民にとっては恩恵も必要性も感じられない臨海部の大規模事業は削り、市民の要望が強く、雇用・経済効果が大きい福祉型投資に切り替えることを提案します。