むねた裕之
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アフリカ放浪の旅(スーダン)

20100807

新かながわ新聞で連載中のアフリカ旅行記が好評なのでその一部を紹介します。

24歳から25歳にかけて1年以上アフリカを旅して回っていました。よく「危険なことはなかった?」と聞かれるのですが、映画のインディージョーンズに似た場面が何回かありました。

スーダンの首都カルツームにいたときに、大規模なクーデターがあり、私は、街の状況をつかもうと都心に出かけたのです。街ではあちこちで、煙が上がり、暴徒たちは、車をひっくり返して火をつけたり、商店の窓ガラスを割っていました。

街の中心部のバス停で待っていると軍隊がトラックでのりつけ、数十人の兵士がトラックから降りてきて、突然、私たちの方にむかって何かを投げてきたのです。催涙弾でした。私は、群集と一緒に逃げ始めましたが、後ろを向くと、軍隊は銃を発砲しながら追いかけてくるのです。私は急遽予定を変えカルツーム脱出を決意し、駅に向かったのです。

駅は人で超満員。でも、列車の屋根は空いていて、しかも屋根はタダだったので、「しめた」と思って空いている1等車の屋根によじ登りました。しかし不思議なことに地元の人は古い木製の2等車の屋根にのっているのです。

その理由があとでわかりました。その季節(3月)のスーダンは昼の気温が50度を超え、鉄板でできている1等車の屋根は、フライパンのようになり、しかも丸くつるつるしていてつかむところがありません。

カルツームから内陸部のニアラまで1週間くらいかかりますが、その間どうやって屋根の上で暮らそうかと考えた挙句、屋根にヤモリのように張り付くことにしました。汗にぬれた手と運動靴で落ちるのを防ぎ、その上から白いシーツをかぶせたのです。しかし、更なる危機が襲ってきたのです。

なんと小さな子どもがその屋根に上ってきて、私の横でふらふらしているのです。「落ちる!」と思った瞬間、その子は私の服をつかみ、私はその子と一緒に頭から落ちていったのです。もうダメかと思ったときに、運動靴のつま先のゴムが効いて何とか止まり、助かりました。後で聞いたのですが、その列車では、毎回4・5人は屋根から落ちて人が死ぬそうです。