むねた裕之
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川崎市臨海部の脱炭素戦略③ー打開策・市の水素戦略と世界の再エネ主流

川崎市の3つの課題の打開策について

川崎市の水素戦略―輸入水素は輸送、発電コストが高く2050年でもCO2 排出

現在、川崎市の5か所の発電所は、天然ガスを燃料として発電していますが、これをCO2フリーの再生可能エネルギーに転換する必要があります。市は、この転換をCO2フリーの水素を輸入して、これを天然ガスに混ぜて発電し、将来的には水素だけで発電することを計画しています。しかし、輸入水素の発電コストは、資源エネルギー庁の試算では、莫大な輸送コストがかかるため2020時点では1キロワットアワー当たり97円もかかり、欧州の太陽光の発電コスト6.8円と比べて10倍以上も高く、とても現実的とは言えません。また、資源エネルギー庁のスケジュールでは、2050年になっても水素だけで燃やす専焼は難しく、50年時点でも発電所からCO2を出し続けることになります。IEAやG7が目標としている2035年までにCO2排出ゼロはとても達成できません。

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再エネの世界の主流は太陽光と風力

 現在、世界の再生可能エネルギーの主力は、太陽光や風力です。特に太陽光の発電量は、この10年で19倍、そのコストは10分の1となり、需要は急激に拡大しています。欧米では、2020年の発電量中の再エネ比率は、デンマークが85%、カナダが68%となっており、2030年~35年の目標比率は、デンマーク、イギリスが100%、カナダが90%、ドイツ、アメリカが80%としています。日本の再エネ比率20.3%と比べて段違いに再エネ化が進んでおり、2030年には、ほとんどの電力は太陽光や風力による再エネで賄う計画です。日本でも今後、太陽光や風力の発電量は急激に拡大することが予想されます。

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