むねた裕之
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川崎市の8月のコロナ感染状況―全国最悪、医療は逼迫、保健所は機能不全状態に

9月14日、21年第3回定例会(9月議会)において日本共産党・渡辺議員が代表質問を行いました。その中の「市のコロナ感染、医療提供体制、保健所体制について」の質疑を紹介します。

【質問】

新型コロナ感染拡大防止についてです。

市の医療提供体制について、市長に伺います。

 川崎市の新型コロナウイルス感染拡大の実態は深刻です。8月29日時点のモニタリング結果では、緊急事態宣言下の都道府県で比較すると10万人当たりの陽性者数241人、陽性率38.3%は全国でも最悪の状況です。コロナ病床使用率は81.5%、重症病床の使用率は124%となり病床は満床状態です。8月31日時点での自宅療養者数は3394人、入院率は7%ですから93%の方が入院できず、ほとんどの方が自宅療養となっている事態です。緊急事態宣言下のどの都道府県と比べても、すべての数値で最悪の状況です。

 全国各地で、自宅療養中に亡くなるケースが相次いでおり、川崎市でも起きています。早急に、自宅療養者を医療の手が届く施設に移すために、臨時の医療施設、宿泊療養施設を大規模に増やすことが求められています。しかし、市内の医療機関にはその余力がほとんどなく、市の宿泊療養施設も、わずか1か所、300室しかないなど、とても3000人を超える自宅療養者に対応することはできません。福井県では、こういう事態に備えて市の体育館を利用して、100床のベッドを設置し医師1人、看護師2人を常駐させるなど常に医療の手が届くような臨時の医療施設を確保しています。大阪府でも1000床の臨時の医療施設を準備しています。川崎市にも各行政区にスポーツセンターの体育館があり、等々力アリーナもあります。それらの市の施設を使って、早急に臨時の医療施設を確保して、できる限り医療の手が届かない自宅療養者を減らすべきです、伺います。9月1日に移転した武蔵小杉の旧日医大の病床、372床をコロナ病床として利用できるようにするべきです、伺います。医師会とも協力をして、例えば訪問診療している医療従事者、医療系大学医療スタッフなどの協力を求め、財政支援もして、人材を早急に確保すべきです、伺います。

 保健所の機能が限界に来ています。家族に陽性者が出ても、同居している残りの家族に対するPCR検査、入院調整まで1週間以上かかるケース、また、病状が悪化したと連絡しても保健所からの指示が来ないなど、家族にとっては耐えられない事態が続いています。今の川崎市の状況は、毎日、500人から800人の新規感染者が出ており、まさに災害時と同様の事態です。市は、この事態を認識し、市民にこの危機的な状況を知らせ、災害時と同様の体制をとり、すべての施設、職員、財政的支援をコロナ対策に集中するべきです、伺います。

【答弁】

この度のコロナ対応につきましては、県・市の医療機関・医療関係団体に多大な御協力をいただきながら、総力を挙げて取り組んでいるところでございます。その上で、全県的に医療従事者に限りがある中、最も効率的な手法として、臨時施設に一時的な医療従事者を配置するよりも、日常的に従事している職場環境にて、組織的に診療等を行うことが最適であるとの考えの下、既設病院の病床拡大を優先して取組を進めているところでございます。

次に、日本医科大学武蔵小杉病院の旧病棟の活用につきましては、この間、病院・県・市の3者で協議を重ねた結果、医療従事者等を新病棟に集中させることが最も効率的であるとの結論に至り、旧病棟の活用ではなく、新病棟にて当初の予定を大きく上回る数のコロナ病床を確保した上、去る9月1日から稼働していただいております。

これを含めて、本市のコロナ病床については、本年1月時点の180床から、’9月現在では450床を超える病朱を確保したところでございまして、引き続き感染状況に応じた病床確保に取り組んでまいります。

(保健所体制)

本市では、これまで、市民サービスの停滞を招かないよう体制を整えるとともに、各局区での業務の見直しや柔軟な応援体制で対応してまいりました。今後の保健衛生・医療対策等の業務に関する職員の応援体制等につきましては、引き続き感染状況に応じて業務継続計画の発動を柔軟に検討し、新型コロナウイルス感染症対策や、ワクチン接種に関わる取組を着実に実施してまいります。

新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、当初より長期になることが見込まれたことから、相談体制等の民間活用や疫学調査等の補助に当たる人員の増強など体制強化を図るとともに、適時、状況に応じて他部からの職員の応援体制を構築してきたところでございます。

長期化する新型コロ、ナウイルス感染症への対応に当たり、保健所の体制を整備することは重要なことと認識しておりますので、今後につきましても、引き続き、地域の保健医療関係団体の御協力をいただきながら感染拡大防止に努めるとともに、保健医療体制の構築を進めてまいりたいと存じます。

【質問】

 川崎市は8月、コロナ病床は満床状態となり、119番通報しても入院できない状況であったのに、反省が全く感じられない答弁でした。臨時の医療施設ついて、答弁は、「臨時施設よりも既設病院の病床拡大」で対応するというものでした。しかし、8月中旬の実態は、感染しても入院できた方はわずか7%、重症病床の使用率は120%、自宅療養者の数は3500人を超えました。満床になる前からわが党は、コロナ病床、特に重症病床を増やすように言ってきたのに、病床が満床の状況を作ってしまいました。満床になってから増やしても遅いのです。十分な病床を確保できなかったことについて責任は感じていないのか、伺います。

【答弁】

市内における確保病床数につきましては、本年1月時点での180床から、 9月現在では450床を超える病床を確保し、患者受入れを進めているところでございます。

入院調整につきましては、入院要請の急増を受けて、8月中・下旬に掛けて、調整に時間を要する場面もございましたが、市域・県域における増床と相まって、現在まで入院適用基準に即した要請があった方については全員入院していただいております。引き続き感染状況に応じた病床確保に取り組んでまいります。