むねた裕之
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川崎市の決算―臨海部のキングスカイフロントの経済波及効果は見えず

10月12日、9月議会での日本共産党の代表討論の内容を紹介します。

臨海部の大規模事業についてです。

19年度決算では、臨海部国際戦略費8.7億円、港湾局では一般会計、特別会計合わせて156億円など計165億円となっています。一方、昨年の台風関連の市独自支出は13億円、新型コロナ関連については決算、今年度補正予算あわせて16億円ですから、この臨海部の支出額は突出しています。例えば、羽田連絡道路の橋梁をかけるための船の航路の浚渫には30億円もかけていますが、多摩川の洪水対策のための浚渫はほんの一部のみです。いったいどちらの優先順位が高いと考えているのでしょうか。必ず来る台風・豪雨対策は真っ先にやるべきことは明らかです。不要不急の大規模事業は中止、延期をして、台風・豪雨対策や新型コロナ対策など、市民の命を暮らしに直結した施策を最優先にすることを求めておきます。

臨海部国際戦略費、キングスカイフロントについてです。

キングスカイフロントの企業誘致は、ほぼ完了して数年たちましたが、この5年間で、臨海部のある川崎区の法人市民税は9億円減少し、10年間で製造業の事業所数は1/3減少、従業員数も1321人減少しています。キングスカイフロントの経済波及効果は、まったく表れていないことが明らかになりました。

分科会では「経済波及効果の税収増は10年間で120億円」という答弁でした。しかし、そのほとんどは固定資産税と都市計画税で誰が土地を持っていようと変わらないので税収増になりません。償却資産や羽田連絡道路ができることによる固定資産税の増収分を入れても、建設後、経常的に入る税収増はわずか年間5億円でしかなりません。

一方、市は土地の購入、羽田連絡道路の市負担分、国への融資の利子負担分など総額180億円も税金を投入していること。年間5億円の税収増では、投入した180億円の税金を回収するのに30年以上かかり、市の税収増につながるのは30年後以降になることも明らかになりました。

この間、臨海部では、大企業がどんどん撤退し、市はその跡地になんとか企業を誘致しようとして、土地を購入して無償提供したり、橋などの交通基盤を整備するなどして、莫大な税金を投入してきました。しかし、このやり方では、必要性が問われるような大規模事業を推進するだけでなく、投入した税金は回収されないままに終わってしまいます。こういうやり方はやめることを強く要望します。撤退を計画している大企業に対して、雇用や地域経済を守る立場から交渉することを強く要望します。