むねた裕之
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地球温暖化対策「CO2排出実質ゼロ」-排出量8割は産業系、戦略は来年度に

3月2日、日本共産党を代表して、宗田裕之が代表質問を行いました。地球温暖化対策についての質疑を以下に紹介します。

●質問

地球温暖化対策は喫緊の課題なのに予算は軒並み削減

地球温暖化対策について、市長に伺います

 福田市長は、本議会の施政方針演説で「世界的に気候変動への対応が進む中、本市におきましても、CO2排出実質ゼロや再生可能エネルギー100%転換をめざし、2050年の脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいく」ことを表明しました。近年、オーストラリアの森林火災、南米の大洪水、ヨーロッパの猛暑、日本の豪雨・台風災害など、地球環境は危機的な状況を迎えており、その対策は待ったなしの緊急課題となっています。しかし、新年度予算では、昨年度と比較して「気候変動への対応」として拡充したのは庁舎内LED化のみです。その他、関連予算では、環境エネルギー施策は20%減、グリーンイノベーションは14%減、水素戦略の予算は62%減、都市農業の振興予算も減 と軒並み減額となっており、市長の姿勢とまったく違います。市長の姿勢に見合う予算にすべきと思いますが、伺います。

温室効果ガス排出削減は目標30%に対して18.6

川崎市の温室効果ガスの削減目標と到達についてです。市は2018年に地球温暖化推進基本計画を策定し、「30年度までに1990年度比で30%削減」を目指していますが、川崎市の実績は17年度、温室効果ガス排出量は2277万トンとなり90年度比で18.6%削減にとどまっています。しかし、市は、川崎モデル「CO2削減に寄与する川崎市発の製品や技術を評価」し、削減量に加えるとしています。この市域外貢献量314万トンを削減量に加えると市の実績は30.4%となり目標は達成しているとしています。しかし、この川崎モデルでは、市内の実質削減量にはならず、しかも、どこの都市もこの算定方式は採用していません。CO2削減量に川崎モデルをいれるべきではないと思いますが、伺います。

CO2排出量の8割が産業系、特に臨海部の大企業

産業系の排出量についてです。産業系のCO2排出量は77%で、他都市平均が4割ですから、川崎市は産業系の排出量が極めて高いのが特徴です。しかも、エネルギー使用量の8割が大企業・大工場で使用され、化石燃料の使用量では、石油の85%、高圧ガスの99%が臨海部に集中しています。COP25でも問題となった化石燃料を使用する発電所は、主なものだけでも川崎天然ガス発電所、川崎火力発電所、東扇島火力発電所、川崎クリーンパワー発電所など臨海部に4か所あります。CO2削減において、産業系、特に臨海部の削減が最も重要な課題と認識しているのか、伺います。産業系、特に臨海部の大企業・大工場・石油コンビナートについてどのような規制をしていくのか、伺います。CO2削減、再生可能エネルギー供給のために、どのような臨海部の再編を目指すのか、伺います。

●答弁

世界的に気候変動への対応が加速するなか、本市におきましても、 C02排出実質ゼロや再生可能エネルギー100パーセントへの転換を目指し、 2050年の脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。

そのため、目指す将来像とその実現に向けた戦略を策定した上で、我が国の気候変動への対応を先導する具体的な取組の実践に向け、必要な予算を計上してまいります。

●再質問

CO2排出実質ゼロをどうやって達成するのか?

地球温暖化対策について、市長に伺います。

 削減目標と達成状況についてですが、「現行の基本計画については、域外貢献量を含めない」という答弁でした。域外貢献量を削減量に加算する川崎モデルは含めないということですので、17年度実績は18.6%です。現行の計画「30年度までに1990年度比30%以上」という削減目標は、達成まではかなり距離があるということです。

 「産業系、特に臨海部の削減が最も重要な課題と認識しているのか」という質問に対して、「産業系は約21%削減してきている」という答弁でした。しかし、それでもなお、全体のCO2排出量の77%を産業系が占めているのです。「臨海部の大企業に対してどのような規制をするのか」という質問に対して、「事業者の表彰などを行うことにより、大規模事業者の自主的取り組みを促進する」という答弁でした。しかし、市長は「2050年までにCO2排出実質ゼロを目指す」と言っているのです。表彰するなど自主的取り組みを推進するだけで実質ゼロを達成できると考えているのか、伺います。

臨海部の化石燃料・発電所はどうするのか?

 エネルギー供給についてですが、市長は「臨海部エリアのCO2削減に向けて取り組みを進める」という答弁でした。しかし、市長は「再生可能エネルギー100%転換を目指す」といっているのです。CO2削減を目指すというだけでは、とても達成できません。実際、現在ある化石燃料を利用した発電所などはどうするのか、伺います。

●答弁

C02排出実質ゼロ及び再生可能エネルギー100%転換は来年度中に戦略を

150万人を超える人口を擁する環境先進都市・川崎として、我が国の気候変動への対応を先導していく責があるものと認識しております。

本市は、これまでも、公害や廃棄物など様々な環境問題を、市民や事業者の皆さんと協働・連携して乗り越えてきた歴史と実績がございます。

C02排出実質ゼロ及び再生可能エネルギー100パーセントへの転換を目指す取組につきましても、多様な主体との協働・連携のもと、 2050年の脱炭素社会実現に向け、来年度のなるべく早い段階で戦略を策定し、挑んでまいりたいと老えております。