むねた裕之
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キングスカイフロントの経済波及効果―実質的な税収増は年5000万円

12月4日、川崎市議会・12月議会で日本共産党は、石川建二議員が代表質問を行い、「キングスカイフロントと羽田連絡道路の経済波及効果について」を取り上げましたので、以下に紹介します。

●質問(石川)

キングスカイフロントと羽田連絡道路の経済波及効果についてです。

拠点形成による個人・法人市民税の税収増は年5000万円しかない

キングスカイフロントと羽田連絡道路の経済波及効果は、10年間で2481億円ということです。しかし、そのうち2114億円は、建設時の建設投資の波及効果で、研究・経済活動による波及効果は、わずか367億円です。実際の税収増ですが、10年間で120億円です。このうち、固定資産税は95億円で、これは所有者がいる限りは収入があるわけですから、キングスカイフロントがあるなしで変わりません。そうなりますとキングスカイフロントや羽田連絡道路の拠点形成による個人・法人市民税などの実質的な税収増は、10年間で5億円、年間わずか5000万円ほどです。市の税源培養というには、あまりにも少ない額です。

市費・総額170億円に見合うだけの税収増をどうやってあげるのか?

結局、殿町「国際戦略拠点」整備に70億円、羽田連絡道路に300億円、市費負担分100億円としても、総額170億円もかけてきているのに、現段階では税源培養にもつながっていないというのが現状です。今後、総額170億円に見合うだけの税収増をどうやってあげるのか、その根拠を伺います。

◎答弁(臨海部国際戦略本部長)

平成29年度に取りまとめたキングスカイフロントの拠点形成及び羽田連絡道路の整備によって生じる経済波及効果の推計におきましては、税収効果を10年間で約120億円と算出しており、その内訳としましては、拠点活動を通じた経済波及効果に伴う個人・法人税収等を約25億円、研究機関の施設や設備の整備などによる固定資産税収等を約95億円と算出しているところでございます。

それ以外に、不動産価値上昇による固定資産税・都市計画税の増収が見込まれており、 10年間で約14億円と算出しているところでございます。

今後も、最先端の研究機関やその成果を事業化する企業等の誘致や支援に取り組むことにより、新たな雇用創出や税源培養につなげるとともに、キングスカイフロントの立地企業と市内企業などとの連携を進めていくことで、更なる波及効果を生み出してまいりたいと存じます。

以上が議会質疑です。

(まとめ)

総額170億円の投資に見合う税収増は見込まれない

殿町「国際戦略拠点」整備に70億円、羽田連絡道路に300億円、市費負担分100億円としても、総額170億円もかけています。キングスカイフロントと羽田連絡道路の経済波及効果は、10年間で2481億円ということですが、建設時の建設投資を除くと、実際の研究・経済活動による経常的な波及効果は、わずか367億円です。そのうち実際の税収増は、10年間で120億円としています。

「総額170億円に見合う税収増をどうやってあげるのか」という質問に対して、答弁では固定資産税の95億円をあげています。しかし、固定資産税は、所有者が企業であれ、個人であれ、所有者がいる限りは収入があるわけですから、キングスカイフロントがあるなしで変わりません。個人・法人税収の25億円を挙げていますが、このうち、建設時の経済波及効果は約20億円なので、建設終了後の経常的な税収は、10年間で約5億円、年5000万円にすぎません。とても総額170億円の投資に見合う税収増は見込まれていません。

先端技術と市内中小企業とのマッチング、事業化のために思い切った施策を

今後について、最先端の「成果を事業化する企業の誘致や支援」、「市内中小企業との連携」により「新たな雇用創出や税源培養につなげる」という答弁でした。まさにこれからの経済波及効果は、ここで生み出された最先端技術をどうやって市内中小企業の事業化、生産活動に結び付けていくかにかかっています。川崎市は、この巨額の投資を無駄にしないためにも、また、市内中小企業の活性化のためにも、先端技術と市内中小企業とのマッチング、事業化のために思い切った施策をとることを要望します。