むねた 裕之

宗田 ひろゆき
日本共産党川崎市議会議員
携帯日記

羽田連絡道路は必要性の根拠なく、キングスカイフロントは税収増に結び付かず

2019年9月26日

9月25日、宗田市会議員は決算審査特別委員会・総務分科会で、臨海部国際戦略費について質問。

市は臨海部に90年代から巨額の投資をしてきたが、市全体、川崎区も雇用増、税収増には結び付いていないこと。羽田連絡道路の必要性については、全く根拠がないこと。キングスカイフロントからの税収についても、税源培養にはつながっていないことを明らかにしました。また、南渡田地区と川崎アプローチ線については、採算性に課題があると国から指摘され、誘致企業もめどが立たない状況であることも明らかになりました。あらためて、羽田連絡道路の中止と川崎アプローチ線計画の白紙を要求しました。いかに内容を紹介します。

【質問】

241目、臨海部国際戦略費について

・これまでにも、川崎市は、雇用や税収を増やすためといって臨海部には巨額の投資をしてきました。90年代以降、川崎縦貫道路の整備に総額6293億円、川崎港コンテナターミナルに400億円、水江町先端産業誘致土地購入に237億円、殿町「国際戦略拠点」整備に70億円、千鳥町再整備に40億円など、30年間で大規模開発に巨額の予算をつぎ込んできました。

・それでは、90年代以降の市の臨海部への投資は、はたして市の雇用増や税収増につながったのでしょうか。直近のデータで検証したいと思います。

臨海部の従業員数と法人市民税について

工業統計調査での市内製造業の事業所数と従業員数について2008年と2017年の数値を、伺います。川崎区の事業所数と従業員数についても伺います

【答弁】

はじめに、工業統計調査によりますと、市内製造業の事業所数と従業員数についてでございますが、平成20年は1,7 5 3か所で5 6,6 6 8人、29年は、速報値として、 1,131か所で46,685人でございます。

次に、川崎区についてでございますが、平成2 0年は53 1か所で2 5,345人、29年は、速報値として、 359か所で24,500人でございます。

なお、 平成29年の速報値につきましては、調査期日の変更等により、平成30年6月1日現在の数字となっております。

【質問】

・直近9年間で、市内製造業の事業所数は、622事業所、35%減、従業員数は9983人、18%減。臨海部のある川崎区でも、事業所数で172事業所、32%減、従業員数では845人も減っています。特に事業所数では全市も川崎区も3分の1、減少するというすさまじい減り方をしています。

市の法人市民税と個人市民税について2008年と2017年のそれぞれの額を伺います。

【答弁】

平成20年度決算の法人市民税額は279億4,800万円で、個人市民税額は1,165億1,700万円でございます。平成29年度決算の法人市民税額は215億4,000万円で、個人市民税額は1,236億3,600万円でございます。

【質問】

法人市民税と個人市民税の市税における構成比について、2008年と2017の比率を伺います。

【答弁】

平成20年度決算の法人市民税の構成比は9.5%個人市民税の構成比は39.7%でございます。平成29年度決算の法人市民税の構成比は6.9%個人市民税の構成比は39.7%でございます。

【質問】

・この9年間で、個人市民税は71億円増、税収の中の構成比では、個人市民税は税収の4割を占めています。

・一方、法人市民税は、64億円減、23%の減少し、税収の中の構成比は、9.5%から6.9%と大幅に減らしています。

法人市民税の構成比について、直近、2017年の政令市平均の比率を伺います。

【答弁】

平成29年度決算の法人市民税の市税に占める構成比の政令指定都市平均は10.0%で、本市は平均よりも低くなっております。

【質問】

法人市民税の割合は政令市の下から2番目

・法人市民税の構成比は、他の政令市は10%ですが、川崎市は6.9%と極端に低く、政令市では下から2番目です。

・川崎市は「全国でも屈指の工業都市」と言われますが、法人市民税の割合は、全国よりもずっと低いのが実態です。

巨額投資は雇用・税収増に結び付かず

・このように、90年代以降の臨海部への巨額の投資は、25年以上たって雇用や税収の推移をみても、市の雇用増や税収増にはつながっていないことは明らかです。

各拠点開発における交通網基盤整備の必要性について

臨海部ビジョンについて、羽田連絡道路、東扇島水江町線、東扇島堀込部埋立、コンテナターミナルの整備事業、川崎アプローチ線、などの事業総額は、それぞれどのくらいになりますか、伺います。

【答弁】

それぞれの事業所管局に確認いたしましたところ、羽田連絡道路につきましては、計画総事業費として約300億円となっており、臨港道路東扇島水江町線については約980億円、東扇島堀込部埋立については約240億円、コンテナターミナル整備につきましては、平成29年度から令和元年度までの既存コンテナターミナルの機能強化のための事業費として、約20億円となっております。

なお、川崎アプローチ線の事業費につきましては、構造や事業手法などについて関係機関と協議調整を行う中で、今後検討してまいります。

【質問】

・川崎アプローチ線は、国の「交通政策審議会」では総事業費300億円と見込んでいますので、臨海部の2本の橋と鉄道の基盤整備だけでも総事業費1580億円もかかります。

キングスカイフロントにおける羽田連絡道路について

羽田連絡道路を整備する事業目的を伺います

【答弁】

羽田連絡道路は、羽田空港周辺地区および京浜臨海部を一体化し、我が国の経済発展を牽引する成長戦略拠点の重要なインフラとして整備するものでございます。

羽田連絡道路の整備により、我が国の国際競争力の強化に資する成長戦略拠点が形成されるとともに、羽田空港へのアクセス性が向上することから、国内外の人やビジネスなどを呼び込むほか、産業の発展や観光の振興などに寄与するものと芳えております。

【質問】

「羽田連絡道路を成長戦略拠点の重要なインフラとして整備する」という目的ですが、この橋をどのような人が主に利用するのか、伺います

【答弁】

羽田連絡道路の整備により、羽田空港へのアクセス性が向上することから、国内外の人やビジネスを呼び込むほか、産業の発展や観光の振興などに寄与するものと考えておりますが、このうちキングスカイフロントや川崎臨海部に関連する利用者といたしますと、立地企業の就業者が通勤ルートとして利用するほか、羽田空港跡地地区とのアクセス性から、成長戦略拠点内を移動する研究者や事業者、および当地区への来訪者などが利用するものと考えております。

【質問】

羽田空港からキングスカイフロントに来る人というのは、1日何人くらいいるのか、伺います

【答弁】

平成29年度に実施したキングスカイフロント立地企業へのアンケート調査によりますと、立地企業50社中16社から回答があり、現在、飛行機により羽田空港を経由してキングスカイフロントを訪れる方に限定いたますと、年間約1,200の利用があるとのことでございました。

なお、羽田連絡道路開通後は京浜急行天空橋駅や国際線ターミナル駅からの通勤利用や、ビジネス利用で多くの方々が利用されるものと考えております。さらに、キングスカイフロントの立地企業の増加や羽田空港跡地第1ゾーン「羽田イノベーションシティ」のまちびらきなど踏まえ、想定される利用者数は更に増加するものと考えておりますが、具体的な利用者見込みにつきましては、今後改めて調査を行い、その結果をバスネットワークの整備などに活かしてまいりたいと考えております。

【質問】

羽田連絡道路の必要性は全くない

・まず、この橋の利用者についてです。「観光の振興に寄与する」という答弁ですが、羽田空港を利用する観光客が、川崎市内、川崎大師に来る場合、すでにある4ルート、大師橋、首都高速、国道15号、湾岸道路を利用すればよいわけで、この橋を利用する必要性はありません。

・「立地企業の就業者の通勤ルート」という答弁ですが、就業者はわざわざ京浜急行・羽田線の駅から来なくても、JRや京急本線がある川崎駅から既存のバス路線を利用して来ればよいわけで、通勤のために橋を作る必要はありません。

・羽田空港を利用して「当地区に来る来訪者」のためということですが、年間1200人ということは、1日当たり3人、わざわざ、橋を作るまでもありません。

・以上のことから、羽田連絡道路の必要性は、全くありません。

キングスカイフロントにおいて、この橋の総事業費は約300億円の市費負担分に見合う税収増、就業者増はあるのか、伺います(推計値)

【答弁】

平成29年度に取りまとめたキングスカイフロントの拠点形成及び羽田連絡道路の整備によって生じる経済波及効果の推計におきましては、平成23年から10年間の市内への経済波及効果額は約2,481億円でございまして、個人・法人税収等及び施設整備による固定資産税収等を約120億円と算出しております。

さらに、地区の就業者につきましては、平成29年度末の約4,500名が令和3年度末には約5,500名となることが見込まれております。

なお、羽田連絡道路整備につきましては、東京都と本市の共同事業により、国の補助および県の支援を受けながら実施しているものでございます。

【質問】

キングスカイフロントの税収増はわずか年5000万円

・キングスカイフロントと羽田連絡道路の経済波及効果は、2481億円ということですが、そのうち2114億円は、建設時の建設投資の波及効果で、研究・経済活動による波及効果は、わずか367億円です。実際の税収増ですが、10年間で120億円です。このうち、固定資産税は95億円で、これは所有者がいる限りは収入があるわけですから、キングスカイフロントがあるなしで変わりません。そうなりますとキングスカイフロントや羽田連絡道路の拠点形成による個人・法人市民税などの実質的な税収増は、10年間で5億円、年間わずか5000万円ほどです。市の税源培養というには、あまりにも少ない額です。

・結局、殿町「国際戦略拠点」整備に70億円、羽田連絡道路に300億円、市費負担分100億円としても、総額170億円もかけてきているのに、現段階では税源培養にもつながっていないというのが現状です。

【要望】

必要性の根拠がない羽田連絡道路は今からでも中止を

・羽田連絡道路については、その必要性の根拠がありませんし、オリンピックにも間に合わないわけですから、今からでも中止すべきです。

・キングスカイフロントについては、中小企業団体の方から「先端技術が自分たちの持っている技術とどう結びつくのかわからない」と話していました。先端技術と市内中小企業の技術をマッチングさせてこそ、本格的な生産へとつながるわけです。中小企業と先端技術を結びつける施策を要望します。

南渡田周辺地区における川崎アプローチ線について

川崎アプローチ線の事業目的について、伺います

【答弁】

川崎アプローチ線につきましては、国の「交通政策審議会」の答申や「川崎市総合都市交通計画」に位置づけられており、川崎臨海部の持続的な発展を支え価値を向上させるためには、臨海部へのアクセス向上など交通機能の強化が大変重要であることから、具体化に向けて取組を進めているところでございます。

【質問】

・事業目的は「臨海部へのアクセス向上など交通機能強化」ということです。

1日当たり、どれだけの乗客数を見込んでいるのか、採算は取れるのか、伺います

【答弁】

川崎アプローチ線につきましては、現在、構造や貨物輸送への影響回避の対策などについて検討を進めているところでございまして、今後、事業手法などについてJR東日本など関係機関と協議調整を進める中で、乗客数の見込みや収支採算性等につきましても検討してまいりたいと考えております。

【質問】

川崎アプローチ線は国の交通政策審議会でも「採算性に課題」と指摘

・乗客数や収支採算性については、これから検討ということです。しかし、国の交通政策審議会の答申では、「収支採算性に課題がある」として「十分な検討が」必要と述べています。

南渡田地区に先端産業を誘致するということですが、その目途はあるのか、伺います

【答弁】

南渡田地区における新産業拠点形成につきましては、臨海部ビジョンにおけるリーディングプロジェクトに位置付けているところでございまして、現在、地権者である企業と連携しながら、拠点整備方銑の策定に向け取組を進めているところでございます。

今後は、拠点整備方針に基づいて、関係者とともに企業や様々な機関の誘致に向けて取組を進め、産業活動のデジタル化・ネットワーク化など「society5.0」を先導する新産業創出拠点の形成を図ってまいりたいと考えております。

【質問】

・「様々な機関の誘致」ということで、まだ、どういう分野の産業を誘致するかも決まっていないということです。

南渡田地区において、この鉄道の総事業費300億円に見合う税収増、雇用増があるのか、伺います

【答弁】

はじめに、川崎アプローチ線の事業費300億円につきましては、「交通政策審議会」における審議にあたり、国において試算を行ったものでございます。

南渡田地区における拠点形成の効果については、現段階では具体的な数値の算出は行っておりませんが、施設の建設や設備投資に伴う固定資産税、企業の事業活動に伴う税などの持続的な税収確保や、企業等の集積による雇用創出などさまざまな波及効果が見込まれるものと考えております。

また、新たな産業拠点が形成され、拠点の事業活動を周辺地域にも波及させることにより、臨海部全体の持続的発展に繋げてまいりたいと考えております。

【要望】

南渡田地区への誘致のめどもなく、採算性に課題のある川崎アプローチ線は白紙に

・市では、「拠点形成の効果については具体的な数値の算出は行っていない」という答弁でしたが、国では、試算をして、川崎アプローチ線は「採算性に課題がある」としているのです。さらに市では、どんな分野の産業を誘致するのかも決まっておらず、誘致企業のめども立っていない状況です。このような状況での川崎アプローチ線の計画は、白紙にするべきです。

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