むねた裕之
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「必ず来る大震災や豪雨災害から命を守る」ことについて

11月4日、神奈川自治体学校に参加し、防災について中村八郎さん(元国分寺市都市計画課長)の講義を受けてきましたので、以下に大要を紹介します。

防災の目的・・「必ず来る大震災・豪雨災害から命を守る」ことについて

 大地震や豪雨など「極端な自然現象」は日本列島で生活している限り、将来のいつの日か必ず発生する。このような自然現象が契機となって発生する災害=社会的被害(人命、資産)をいかに防ぐか、以下に軽減するか。つまり、命だけを救っても立ち上がれない。地域の資産を守るために地域を安全にすることが必要。

コミュニティの主体的取り組みが不可欠

災害被害は、地域社会の諸条件に強く規定される。被害の規模や原因は発生場所により異なり一様ではない。そのため災害対策に「共通項」はないし、一つではない。

災害危険性を提言するための具体的な対策は、地域社会において実施され、地域社会全体での取り組みが大切(=1軒1軒では防げない)。そこでの施策としては

① 木造住宅密集地区の安全改善

② 地盤改良による液状化による被害軽減

③ 急傾斜等の土砂災害危険地区の安全化

④ 浸水危険地区の防災対策

⑤ 住宅等の耐震化の被害軽減対策・・行政は補助制度を作って「やってください」では進まない。(後述)

⑥ ブロック塀の重量塀の安全改善対策など

国分寺の防災まちづくり推進地区

市の認定制度をつくり、地域の防災対策を推進するリーダーを育成。具体的には、市民防災まちづくり学校を開設し、学校修了者は市民防災推進委員として認定。地域の市民防災推進委員会を立ち上げていき、市と協定を結んで、市はそこに技術的・予算的な支援を行う。以下のような活動を行う。

① 現実を知る・・地元の地形、地質、災害履歴、問題個所などを調査し、住民アンケートなどを実施。地区白書や災害危険診断地図の作成。

② 課題を共有する・・地域の問題の抽出し、予想される被害に対する対応の検討。

③ 方策の具体化・・改善方法を検討し、行政と調整し、実施の手順を検討。地区協力体制づくり。

⇒地区防災計画の作成

事例(高木町自治会)

現在の防災組織について

どこへ行っても同じような訓練をしている。しかし、実際にはその地域の特性をおさえた対策が必要で、その特性に応じた訓練が必要。

「自助・共助」を強調するが、責任を負えるのか?

今の方向は「行政ができないから地域で」。しかし、行政ができないことを、本当に地域ができるのか?責任を負えるのか?災害救助法では、責任は国にあり、法定受託している市町村に責任がある。地域の運営委員会や避難所は最前線なのに、町会や自治会の人には、何の権限もない。職員でもない方に責任を負わせるのか?要援護者の担当をつけても責任を負えるのか?今の防災計画には無理がある。

木造住宅耐震の助成制度の推進について

地域で取り組むことが重要。地域で耐震性が必要な木造住宅をおさえる。診断士にしても、知らない人が家の中を見て回るのには抵抗がある。地域の信頼できる方が必要であり、行政が診断士を育成し行政が保障する必要がある。また、診断士にいろんなケースを提案できるようにする。業者を頼むにしても地元の業者を優先させることで、信頼性が高まる。