むねた裕之
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研修(自治体学校)-自治体の財政について

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7月21~23日で自治体学校(福岡市)に参加してきました。

22日、講座11「自治体財政の基本と分析」森裕之(立命館大学)の講義に参加しましたので、その大要を紹介します。

財政構造

自治体の財源としては、一般財源と特定財源があるが、一般財源とは自分の財源で特定財源は他人の財源のことである。当局は、自分の財源=一般財源をどう使うか、抑制するかが最大の関心事。投資的経費(建設費)は一般財源の割合が小さく、民生費は大きいため、公共事業は、他人の財源でやるので推進しやすいが、民生費、人件費などは、自分の財源なので使いたがらない、逆に削減する方向となる。

基金

地方は公共施設の老朽化対策に備えて、基金(財政調整基金など)を増やしたいが、国は基金の増大を理由に地方交付税を減らしたい。

基準財政需要額

計算式は 人口x単位費用(標準自治体)x補正係数(密度、寒冷など)

国は、単位費用を減らす方向。経年チェックが必要。

経常収支比率

計算式は 経常経費/(地方税+地方交付税)

経常経費は増大しているが、臨時的経費(政策的経費)は減少している。しかし、臨時的経費が少ないからと言って特別問題ではない。

PFI

直営の場合  地方債+一般財源

PFIの場合  PFIの借入+一般財源

通常、PFIが借り入れる場合、自治体の地方債よりもPFIの借入金利は高くなるため、PFIの借入は大きくなるし、PFIは経費もかかる。したがって、PFIのほうが、費用は大きくなる。

赤字

自治体の収支は、基金を取り崩して何とか黒字にしていることが多い。財政危機というのは、経常収支比率でも実質収支が黒字ということでもない。実質単年度収支をチェックすること。実質単年度収支が赤字の自治体は、全自治体の約半分。どこの問題があるのかは、類似自治体の支出をチェックすること。

公共施設の建設

例えば、100億円の施設を建設する場合、10億円は一般財源、90億円は地方債とすると、地方債の7割くらいは国の地方交付税で賄われるため、自治体の負担は案外少ない。本当の負担割合を見るには、実質公債費比率でみること。

以上のように、川崎市の財政分析にも大変参考になる内容でした。しかし、川崎市のように、地方交付税が不交付で、減債基金にため込んでいる例は、ほとんどなく、川崎市の財政というのは全国でもいかに特異かがわかりました。