むねた裕之
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大阪視察―就労支援のベースとなる高校内「居場所」事業

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4月18日、川崎市議団は、高校生の就労支援、居場所事業を調査するために、大阪市・豊中市の青年の家「いぶき」(一般社団法人・キャリアブリッジに委託)を視察しました。川崎市政に生かすうえで大変参考になりました。

なぜ高校在学中の就労支援が大切か

大阪府豊中市の調査では、ひきこもりになった年齢は15-19歳が3割に上り、高校又は高校から就労段階へ移行するタイミングと考えられています。ひきこもりになったきっかけとして「人間関係」「就職活動」と回答している人が3-4割を占めます。このような状況から、社会的孤立を予防するためにも高校生の就労段階からの支援がどうしても必要です。

「困難性の高い生徒の就労支援をどうするのか」からスタート

「いぶき」は、2010年豊中市にて開始されたパーソナルサポートモデル(内閣府・厚生労働省委託)として、豊中市「くらし再建パーソナルサポートセンター」との連携で運営されています。この運営を委託されているキャリアブリッジでは、就労、医療、福祉など様々な経歴を持つ専門家がチームを組んで、相談事業を行っています。

専門家によるサポート体制

就労を困難にしている要因は、健康、家族問題、生活習慣、能力、経済問題、経験不足など様々で、しかも複合的です。これらの問題を、専門家チーム(精神保健福祉士、臨床心理士、看護師、社会福祉士、発達障害支援員、就労相談員、企業開拓員、社会保険労務士、中小企業診断士、キャリアコンサルタント)によって、週に1回、それぞれのケースごとにアセスメントを実施します。そして、一人ひとりのケースについて多様な出口(支援プラン)を開拓していきます。ケースによっては、福祉的就労にするのか、一般の就労に進むのかに分かれ、企業開拓員が就労先を開拓したり、就労までに距離のある人たちを応援する団体や事業所のサポートまで行います。

居場所(相談室)立ち上げのきっかけ

経済的支援、医療的支援、福祉的支援などを専門的にサポートしてもらうことがわかり、2012年度から、学校で担いきれない部分をキャリアブリッジに担ってもらう学校が出てきました。その中で、就労困難な生徒の支援は卒業年次になってからでは遅いと考えたこと、中退防止・学校定着が大きな課題であることから学校内に居場所を立ち上げることになりました。キャリアブリッジとつながることによって卒業後のフォローもできるようになり、学校のソーシャルスクールカウンセラー(SSW)だけでは担いきれない課題を専門家のチームがサポートすることになります。

居場所では

ゴロっとなって雑談できる和室を利用しています。居場所での雑談から、スタッフへの信頼や生徒の悩み、困難などをキャッチすることができます。

課題として

生徒との信頼関係、学校との信頼関係をはぐくむためにも、継続的な事業展開が必要です。そのためにも安定的な予算の確保が課題となっています。また、学校内に他団体を入れることへの抵抗感もあります。