むねた裕之
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代表質問・平和問題―市長は政府に核兵器禁止条約の署名求めず

9月1日に始まった川崎市議会・9月議会で、9月12日、日本共産党の大庭議員が代表質問に立ちました。核兵器禁止条約について市長の政治姿勢をただしましたが、市長は最後まで政府に禁止条約の署名を求めませんでした。質疑を以下に紹介します。

質問

北朝鮮が8月29日に弾道ミサイルを発射、さらに9月3日、核実験を強行しました。世界の平和にとって重大な脅威であり厳しく糾弾し抗議します。北朝鮮に対して、これ以上の挑発行為と核実験を中止すること、米朝両国に対して、強く自制を求めるとともに危機打開のための直接対話に踏み出すことを強く求めます。

国連会議は7月7日、核兵器禁止条約を国連加盟の3分の2に当たる122か国の賛成で採択しました。人類史上初の核兵器禁止条約は、日本の被爆者をはじめ「核兵器のない世界」を求める世界各国と市民社会の多年にわたる共同の取り組みが結集した、歴史的な壮挙です。採択された条約は、その前文で、核兵器の非人道性を厳しく告発し、国連憲章、国際法、国際人道法に照らして、その違法性を明確にしています。条約第1条では、核兵器の「開発、実験、生産、製造、取得、所有、貯蔵」の禁止、「使用、使用の威嚇」の禁止、締約国の領土と管轄地域への核兵器の「配置、導入、配備の許可」の禁止を明記しました。これらは、核兵器に「悪の烙印」を押し、特に核抑止力論を否定したものとして大きな意義を持っています。禁止条約の締結は、核兵器完全廃絶の新たなスタートでもあり、9月20日から条約の署名が開始されます。

 このような世界の動きに対して、唯一の被爆国である日本政府は、この条約に背を向ける態度をとり続けました。条約締結後、初の平和式典を迎えた広島、長崎では、日本政府に対して厳しい批判の声が上がりました。平和式典に参加していた安倍首相に対して田上長崎市長は、「核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません」と日本政府の姿勢を厳しく批判しました。同日、安倍首相と面会した被爆者団体は「あなたはどこの国の総理ですか。いまこそあなたが世界の核兵器廃絶の先頭に立つべきです」と同条約への署名を迫りましたが、首相は署名を拒否しました。

 市長は、全国に先駆けて「核兵器廃絶平和都市宣言」を行った都市の市長として、核兵器禁止条約を評価するべきと考えますが、伺います。

 現在、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを各国に求める署名、ヒバクシャ国際署名が世界で取り組まれており日本国内では神奈川県黒岩知事をはじめ828市町村長が署名しています。市長も署名をすべきではないですか、伺います。

 核兵器禁止条約の締結に反対し、核兵器廃絶に背を向けている日本政府に対して、禁止条約に署名をするよう、市として求めるべきと考えますが、市長に伺います。

答弁

昭和57年に、他の都道府県、政令指定都市に先駆けて核兵器廃絶平和都市宣言を行った本市といたしましては、引き続き政府の動向を注視するとともに、国内外の自治体と連携、連帯しながら、核兵器のない世界への流れを全力で支援してまいりたいと存じます。

再質問

核兵器禁止条約の評価、その署名を政府に求めること、市長自身のヒバクシャ国際署名に関しても、答弁がありませんでした。市が参加する平和首長会議は、2016年11月「核兵器禁止条約の早期実現に向けた取組の推進」を求める要請文を日本政府に提出しています。なぜ、市は政府に同じことを要請できないのか、伺います。

「国内外の自治体と連携、連帯して」という答弁ですが、ヒバクシャ国際署名は、県内では、県知事をはじめ、政令市の相模原市長を含め26自治体、79%の市町村長が署名しており、「他の自治体と連帯して」というなら、署名するのが当然です。市長は、署名を拒否するということなのか、伺います。

答弁

核兵器禁止条約につきましては、本市が加盟する平和首長会議において策定された2020年までの核兵器廃絶を目指す行動指針に基づき、この条約の締結を各国政府等に要請するなど、国内外の自治体と連携、連帯した取組を進めているところでございます。また、核兵器廃絶等に関わる署名につきましては、その都度、適切に対応してまいりたいと存じます。