むねた裕之
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自治体学校で教育を受ける権利、学習権を学ぶ

自治体学校・写真

7月22~24日、千葉県で行われた自治体学校に参加しました。

1日目は、記念シンポジウム「住民参加で輝く自治体を」に参加

2日目は、分科会「よくわかる市町村財政分析」に参加し、以前、学習会でお呼びした大和田一紘さんの講義を受けました。

3日目は、特別講演「社会教育・公民館の役割と地方自治」と題して長澤成次・千葉大名誉教授の講演を聞きました。

長澤先生の講演で、改めて社会教育の自由と自治について学びました。長澤先生の講演の一部を紹介します。

戦前の侵略戦争に対する深い反省から、戦後、日本国憲法によって「教育を受ける権利」が人権の中に位置づけられ、社会教育もまた、憲法、教育基本法、社会教育法制のもとで構造的に位置づけられました。

憲法第26条は「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と宣言し、教育基本法の前文で「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想は、根本において教育の力に待つべきものである」とのべ、憲法を実現するうえで、いかに教育が大切かを示しました。そのために教育基本法には、準憲法的性格を持っています。そのためにも「国及び地方公共団体は・・すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない」(社会教育法第3条)と規定しています。その意味から社会教育の場として整備された公民館は重要な役割を持っています。

さらに教育基本法第10条で「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接責任を負って行われるべき」と定め、社会教育法第12条では「国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によっても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない」と述べ、教育に対して国や地方公共団体からの支配や干渉を禁止しています。

また、ユネスコ学習権宣言で「学習権は、たんなる経済発展の手段ではない。それは基本的権利の一つとしてとらえられなければならない。学習活動はあらゆる教育活動の中心に位置づけられ、人々を成り行き任せの客体から、自らの歴史を作る主体に変えていくものである」とのべ、学習権を基本的人権の一つとして位置づけ、人々に対して歴史を作る主体に変える力を持つと学習権の人類にとっての意義を述べています。

しかし、今、自治体の社会教育をめぐっていろんな問題が起こっています。

公共施設の再編整備ということで、習志野市の公民館は株式会社など民間事業者に委託されるなど「公的サービスの産業化」を行政が進んで勧めています。

また、2014年6月「梅雨空に『9条守れ』の女性デモ」の俳句会による秀句が「公民館だより」掲載を拒否される事件のように、行政による社会教育に対する干渉も行われています。

最後に、地域住民の学習権保障に果たす地域・自治体の課題として、多様な住民参加システムを活用して、人権としての学ぶ権利を保障する行政の構築を訴えました。

あらためて、教育を受ける権利、学ぶ権利は基本的人権であり、人々が歴史を作るうえで欠かせない権利であること。国や自治体からの支配や干渉は許してはならないことを学びました。