むねた裕之
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消費税増税による小規模事業所の実態/構造的欠陥を持った税制

5月19日、総務委員会で「国に対して消費税増税を中止する意見書の提出を求める陳情」に対する質疑が行われましたので、私の質疑を以下に紹介します。

 

中小業者への影響

(むねた)

8%増税時の倒産件数全国調査では(東京商工リサーチの調査)倒産件数のうち従業員が5人未満のいわゆる小規模事業者の割合が高まっていることが指摘。同調査によると2014年度(8%増税時)、倒産全体に占める小規模事業者の割合が、調査以来、初めて70%台に達した(01年度の49.8%)

消費税を8%に上げたときの市内の中小業者への影響調査は?倒産件数は?

(答弁)

・(2014年9月 川崎市産業振興財団)「悪影響」、「かなり悪影響」をあわせて35.0%

(むねた)

・増税直前の調査33.8%より増加(3分の1)。特に4人以下の小規模事業所は43.6%と約半数の企業が「悪影響」。

 

小規模事業所の実態

(むねた)

内装業のYさん(中原区)・・消費税分を「4,5年前から年金や身内の借金を繰り返して納めてきた」/売上高1800万円(外注2人)でYさん(家族4人)の収入は年収400~500万円(月33~42万円)。ここから国保、住民税、介護保険料などを合わせると月16万円、家賃・月15万円を合わせると31万円引かれる。奥さんの年金の月4万円などでやっとの生活。そういう中で消費税は54万円どうやって出せるのか?/消費税を払うために身内から40~50万円借りたり、サラ金にも借りてなんとか払ってきた/消費税や国保の催促の電話が毎日のようにかかり、電話が恐怖に。窓口では一切事情を聞いてもらえず、とにかく払え、払わない場合は差し押さえすると言われた。笑顔が消えて心療内科にかかって「うつ病」と診断された「毎日消費税のことが頭から離れず、“税金のために働いているのか”という気持ちだった。税務署からの電話におびえ、窓口の対応に心が折れそうだった」

・市はこういう実態をつかんでいるのか?

・川崎市は「中小企業活性化条例」がこの4月に施行されています。この第15条2項に「経営資源の確保が特に困難な小規模企業者」への支援を掲げていますが、

市としてこういう小規模事業所の実態調査を行っているのか?

 

中小企業の一番の悩み・・価格への転嫁

(むねた)

・Yさんは、消費税増税前と増税後ではもらえる単価は変わっていない。「価格に転嫁できていない」ということ=消費税増税分を代金としてもらっていないのに、消費税を払わされている。

・価格転嫁の全国調査では、日本商工会議所など4団体が2011年(5%時)に実施した「中小企業における消費税の転嫁にかかわる実態調査」では、「転嫁できない」が売上高1000万円~1500万円層では64%、1500万円~1億円未満で50~59%、1億円~2億円層でも46%

市としては「価格に転嫁できるかどうか」調査はしているのか?特に4人以下の小規模事業所についてはどうか?

 

消費税の滞納額

国税で2014年度(8%引き上げ後)の新規発生滞納額について、全税目の滞納額と消費税の滞納額はどのくらいですか?

(答弁)

・国税の2014年度(8%)の新規発生滞納額は5914億円、このうち消費税は3294億円

(むねた)

・国税の2014年度(8%)の新規発生滞納額は5914億円、このうち消費税は3294億円で全税目の56%に。国税全体の半分以上が消費税の滞納です。

 

欠陥税制

(むねた)

・約半分の中小企業(その多くは小規模事業者)は、消費税分を十分に価格に転嫁できてないのが実態。

・現在の消費税の制度は、①受け取っていないのに、受け取っていることにして払わされている制度であり、②「払いきれない」という滞納者、滞納額がこれだけ多く生まれる税金制度。これがまともな税制度といえるのでしょうか?

・「払いきれない」という事態が広がれば税制そのものが成り立たなくなる。滞納者に対し、納税を強制すれば、滞納がなくなるどころか倒産、廃業が増えるだけ。

・ヨーロッパと違い、中小企業の権利が十分保障されず、価格に転嫁できない日本では、消費税は構造的な欠陥を持った欠陥税制だといえる。

しかも、川崎市にとっても増収どころか、減収、負担増になる

このような消費税の増税は、中止をすべき!意見書を上げるべきではない。