むねた裕之
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川崎市の財政状況・・市民税は過去最高、財政力指数トップで「厳しい」という状況ではない

20151002180045-0001

決算特別委員会の総務分科会で財政状況と減債基金について質疑をしました。

「一般会計・特別会計決算見込みの概要」では、「市税収入は過去最高」と指摘しながら、なぜ、「引き続き厳しい財政状況」となっていますが、実態は本当に「厳しい」のか?質問をしました。

各会計の状況

一般会計、特別会計ともに黒字ということで「厳しい財政状況」とはいえません

歳入・・市民税は2年連続の過去最高額

市民税は2年連続の増収で過去最高額。個人市民税も人口増で増収。人口は15年後まで増え続けます。固定資産税は小杉などの新築マンションラッシュ、新築増加で増収。ここもこれからさらに住宅増加で増え続けます。

歳入のどの項目も増額で将来的にも増え続き、財政的なマイナス要因はありません

歳出・・扶助費が市財政を圧迫しているわけではない

扶助費の増額は子育て世帯給付金、臨時福祉給付金などですが、国からの給付金でまかないます。保育受け入れ枠拡大などで増額した保育事業費の本市負担分(26.1億円)は地方消費税交付金でかなりの部分まかなわれます。

扶助費が市財政を圧迫しているわけではありません

義務的経費と投資的経費・・義務的経費は微増、投資的経費は将来負担につながる恐れ

投資的経費は、前年度比で22.4%増加。一方、義務的経費は前年度比で2.5%の微増です。構成比も投資的経費は、2.1%増加、義務的経費は、1.6%減少し、必ずしも義務的経費が財政を圧迫しているとはいえません。

むしろ投資的経費のほうが増加率も金額も大きく、構成比も増大しています。一般財源ベースでは減少といっても市債からの借入れが増えており、将来的な負担につながる恐れがあります

健全化指標・・どの指標もきわめて健全、財政力指数は政令市トップ

実質公債費比率は8%と前年度より1.1%改善。早期健全化基準25%をはるかに下回り、将来負担比率は115%程度で早期健全化基準の400%をはるかに下回り、将来的に財政を圧迫する可能性は極めて低いのです。

どの指標をみても財政状況は極めて健全で、財政力を示す財政力指数も公表しているところでは川崎市は政令市トップ。「引き続き厳しい財政状況」という指標はありません。

減債基金・・年々増え続け10年後には2500億円を超える

「決算並びに基金運用状況審査意見書」の減債基金についてですが、「審査意見書」の意見、総括では、減債基金からの借り入れが「平成24年度から3年連続となり、その累計額は126億円」、となること、「平成30年度までの借入額の合計は約500億円を超える見込み」で「将来の行政サービスの低下や新たな負担をもたらすおそれ」とありますが、本当にこの借入れが、市民に新たな負担をもたらすのでしょうか?

結局、減債基金から3年間で126億円もの借入れをしましたが、その間、減債基金の残高は459億円も増えています

「平成30年度までの借入額の合計は約500億円を超える見込み」といいますが、たとえ借入額が500億円を見込んでも上記のように、この借入額を上回る積み立てをすることが予想され、減債基金が今の額から減るようなことは考えにくいのです。

減債基金残高は、今後10年間、1822億円から増え続け2500億円を超えるということです。この数字自体、かなり控えめで、市の減債基金残高の将来推計でも10年後は2678億円。この3年間の積み立ての平均は140億円ですから、このペースで行くと10年間で1400億円増額され、減債基金残高は3000億円を超えることも予想されます。

実質公債比率も平成33年度の11.6%をピークに下がり続け、早期健全化基準25%をはるかに下回り、10年後以降もさらに市の財政は健全化されていきます。

新総合計画でも川崎市は、15年後まで人口は増加し続け、総合計画でも平成31年には収支がプラスに逆転することを考えれば、減債基金残高は、増え続けることはあっても減り続けるということは考えられません。

まとめ・・現在も将来的にも「引き続き厳しい」状況とは言えない

・これまでのべたように、川崎市の現在の財政状況は、極めて健全。将来的にも人口も増え続け、市税収入も増加し、収支見通しは、平成31年度以降プラスに転じます。

減債基金は、「大規模施設整備の増加」に気をつければ、減債基金からの借入れは避けられます。

川崎市の財政状況は現在も将来的にも「引き続き厳しい」状況とはとても言えません

地方自治法の地方自治体の本旨は「住民の福祉の増進」です。社会保障費が市の財政の中心になることは当然です。財政が厳しいと言って扶助費など社会保障費を削るべきではありません。財政的に気をつけるとすれば、大規模開発などによる市債の増大、将来負担を増やすことです。あらためて、無駄な大規模開発は中止をして、福祉、暮らしの予算にすることを要望します。