むねた 裕之

宗田 ひろゆき
日本共産党川崎市議会議員(高津区)
携帯日記

マイナンバー制度ーその危険性と経費、負担について

2015年9月16日

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いわゆるマイナンバー制度は、今年10月から国民へ番号通知が行われ、来年1月から開始される予定ですが、赤ちゃんからお年寄りまで住民登録をしている人全員に生涯変えられない原則の番号をつけ、その人の納税や社会保障給付などの情報を国が管理し、行政手続きなどで利用する仕組みとなっています。日本年金機構の情報漏えいの事件もあり、国民、地方自治体、中小企業など広い層から、不安や疑問の声が出ています。

第1は、情報漏えいの危険性です。

マイナンバーが扱う個人情報の数は膨大です。年金加入者6346万人、雇用保険被保険者3950万人、医療保険被保険者9283万人、生活保護被保護者217万人、確定申告する方2143万人など、年金、社会保障、税、防災の個人情報が扱われます。さらに今回、政府は法施行前に今国会で範囲を預金口座や健康診断情報など民間機関が扱う情報にまで広げました。

政府は「情報を分散管理するから大丈夫」といっていますが、日本年金機構の情報流出事件を見ても100%情報漏えいを防ぐシステム構築は不可能です。年金機構も情報系ネットワークと基幹系ネットワークで分離していましたが、職員がデータをネット接続できる情報系ネットワーク環境にコピーして作業したために情報漏えい事件が起きました。また、地方公共団体が設置する中間サーバーには、他機関からの個人情報のコピーが集約化され保存されており、ここがサイバー攻撃を受けたときには大量の情報が一網打尽に漏れる危険があります。個人のパソコンでマイナンバーの情報を見ることができる「マイナポータル」は、ICカードとパスワードさえあれば特定の個人のありとあらゆる情報を見ることができます。個人番号カードの紛失や盗難によって、なりすまし、犯罪に悪用される危険があります。

8月下旬に年金情報漏れ問題での検証委員会から報告書が出されました。その報告書では、行政の民営化や外部委託の危険性が指摘されています。民営化で実務に習熟した職員を解雇し、非正規労働者に置き換えてきた弊害や外部委託拡大による情報管理の危険性、ネットとつながるパソコンで個人情報を扱うことを原則禁じていたのに、仕事のしやすさを優先して原則が守られていなかったことが指摘されています。

川崎市でも多くの業務を外部委託で行われています。

第2の問題点は、マイナンバーの適用範囲拡大の危険性です。

マイナンバーの適用範囲は、現在、年金、社会保障、税、災害など3分野98の行政事務となっています。しかし、今国会では、この範囲を預金口座や健康診断情報など民間機関が扱う情報にまで広げました。

今回のマイナンバー制度が、従来の住基ネットと違うのは、情報の量や適用範囲が格段に広く、膨大だということと、住基ネットが公的機関に利用が限られていたのに対し、マイナンバーは勤務先や取引先など民間企業にも提示するため情報漏えいのリスクが格段に高まるということです。さらに政府は適用範囲をカルテ、診療報酬明細などの医療情報や戸籍、パスポート、自動車登録、身分証明証、健康保険証、クレジットカードとの一体化などにも拡大することを検討しています。

地方自治体による利用拡大も可能になりました。公営住宅の管理、特別優良賃貸住宅の管理、雇用・障がい者福祉などの分野や行政が発行する各種証明書の発行などに利用範囲を拡大することが検討されています。今回の条例案にも「市営従前居住者住宅の管理」やコンビニでの行政の各種証明書の発行などに範囲が拡大されています。政府は「利用範囲を法律に限定」すると言いながらどこまでも拡大する方向です。

第3の問題点は、導入・維持に莫大な経費と負担がかかるという点です。

国の導入経費は、基幹システム、地方税システム、カード発行、広告など3400億円、さらに維持費はその10%~15%もかかるといわれています。

東京新聞はマイナンバー制度の特集記事で「655自治体の内、対策が完了しているのは54自治体」、「自治体側から費用負担などに悲鳴があがり、総務省はあわてて財政支援する方向で検討始めた」、「年金機構の問題があって、各自治体のシステム構築は一時ストップしてしまい、作業はさらに遅れている。問題は来年1月のスタートまで完成するかどうか。間に合わない自治体も出てくるのではないか」などの各自治体の不安の声を紹介しています。

川崎市でも市の持ち出し分として8億円もの予算がかかります。

自治体、公的機関の各職場では、膨大な作業が予想され、自治体職員から「本当に間に合うのか?」という不安の声が上がっています。

第4に、マイナンバー制度は、国民や中小企業にはほとんどメリットがなく、負担や危険性が高まる制度だということです。

民間信用調査会社と東京商工リサーチの調査では、中小企業の65.9%が「メリットはない」と回答、逆に53.3%が「情報漏えいリスク」が高まり「業務の煩雑化」や「業務量の増加」「コストの増加」がデメリットと答え、導入準備の「検討中」57.5%、「未検討」32.0%にものぼり「おおむね完了」はわずか2.8%です。

国民にとっては、政府が便利になると宣伝している「公的年金の申請」など多くの人にとっては年に一度あるかないかの手続です。個人番号が漏れないようにする労力に見合う利点とは言えません。逆に他人による番号の不正利用や、個人情報の流出によってもたらされる被害のほうがはるかに深刻です。

さらに国家が国民の所得や資産を把握することによって、税や保険料の徴収・課税の強化、社会保障の抑制のために制度が活用されます。また、警察や自衛隊への情報提供が認められており、マイナンバーの悪用を監視するチェックの対象外です。これらの機関による国民の監視活動、政府への反対運動対策に使われかねません。

マイナンバー制度は、実施を中止しても住民生活にはなんら支障はない制度です。

年金機構の情報流出問題で「再発防止策」をとるまでは一定時間を要することは避けられないため、マイナンバー制度と基礎年金番号との連結は延期をされました。

年金機構の流出事件の「再発防止策」も出ていない状況で制度をスタートするのは危険で無責任です。

マイナンバー制度は、税・社会保障の分野をはじめ、住民の個人情報、多くの行政手続きに関連し、地方自治体の根幹にかかわる問題です。住民の不安が高まっている中、スケジュールありきではなく、もう一度、制度を根本から見直すことが必要です。

川崎市としても国に対して、実施の中止、または延期を求めるべきだと思います。

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