むねた裕之
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個人情報保護条例の一部改正に反対ーマイナンバー制度の問題点を指摘

6月の第3回川崎市議会定例会で国のマイナンバー制度の施行に伴い、川崎市の個人情報保護条例の一部改正が提案され、日本共産党は、それへの反対討論を行いました。

多くの国民、事業者から不安と疑問が

今、マイナンバー制度そのものに、多くの国民や事業者から不安や疑問が寄せられています。マイナンバー制度は、今年10月から国民へ番号通知が行われ、来年1月から開始される予定ですが、赤ちゃんからお年寄りまで住民登録をしている人全員に生涯変えられない原則の番号をつけ、その人の納税や社会保障給付などの情報を国が管理し、行政手続きなどで利用する仕組みとなっています。さらに政府は、まだ施行していないのに国民の預貯金や健康診断情報など民間企業が扱う情報にも拡大する法案の今国会の成立、さらに、カルテや診療報酬明細など医療情報、戸籍や旅券、自動車登録など次々と拡大する方針です。

すべての事業者に重い負担と資金が

この制度の問題点のひとつは、国、自治体、すべての事業所に重い負担と労力、膨大な資金がかかるということで、特に中小企業から、悲鳴が上がっています。

すべての事業所は、来年1月以降、従業員の給与から税、社会保険料の天引き手続きなどに番号を使うことを義務付けられているため、従業員本人はもちろん配偶者、扶養家族の番号も勤め先に申告することになります。企業側はアルバイトも含め従業員の膨大な番号の厳格な管理が求められており、いま対応に追われています。また、システムの更新や整備の費用や人的体制の確保が重い負担となってのしかかってきます。国は初期導入に2000-4000億円、以降の運営費が年間数百億円規模の資金がかかり、川崎市でも11億円の費用と2人の課長を配置するなど、重い費用と負担がかかってきます。

100%情報漏えい防ぐのは不可能

6月1日、年金個人情報125万件が流出し、あらためて公的機関の個人情報管理の脆弱性と絶対安全などないことが明らかとなり、マイナンバー制度の前提が崩れました。100%情報漏えいを防ぐ完全なシステムの構築は不可能であり、一度漏れた情報は流通売買され取り返しがつかなくなることは明らかです。しかも、事業者の9割が小規模事業所であり、多くが厳しい経営のなか、システム改修の費用、人的配置など重い負担がのしかかり、さらに、その事業者の経理担当者は、給与支払いのときに従業員とその家族の個人番号を知ることになることから、その厳格な管理が求められます。そういう方がやめたり事業所が倒産したりした後の管理はどうするのか?課題は山積しています。現に、アメリカでは、この制度を利用して他人の番号を悪用した「成りすまし事件」が、毎年900万件もおこっており、韓国では昨年、1億人以上のクレジットカードや銀行口座に関する情報が盗まれました。

政府は、この制度についていいこと尽くめのことを宣伝し、例として、マイナンバーがあれば公的年金の申請の際などで、複数の書類をそろえる手間が省けるといいますが、多くの人にとっては年に一度あるかないかの手続で、個人番号が漏れないようにする労力に見合う利点とは言えません。他人による番号の不正利用や、個人情報の流出によってもたらされる被害のほうがはるかに深刻です。

日本共産党はマイナンバー制度そのものに反対

このように、マイナンバー制度は、業者や国、地方自治体には多大な負担を求めながら国民や中小企業にはほとんど恩恵がない制度であり、国民の納税や社会保障給付などの情報を国が管理して、税金や社会保険料などの徴収強化と社会保障の給付抑制に使われかねない制度として、日本共産党は反対を表明しています。